岩手県洋野町が「社会的ひきこもり」状態にある人の過半数を40歳以上が占めるといった、訪問調査の結果を、3月11日に学会で発表する。「ひきこもり期間」は長期化し、ひきこもる人たちの高齢化が進んでいる。彼らの親も年老いていく中、全国で何十万もの世帯が“親子共倒れ”の危機に直面している。(ジャーナリスト・池上正樹) 「社会的ひきこもり」者は40歳以上が過半数を占める──。岩手県洋野町の調査から判明したデータとその分析結果が3月11日、岩手公衆衛生学会で報告される。 ひきこもり実態調査は内閣府も昨年9月に公表したが、こちらは調査対象が39歳まで。ひきこもり現象が社会問題化する中、中高年層で状況が一層深刻化していることを、国でなく、小さな町が明らかにしたのだ。 三陸海岸と山に面した洋野町は人口約1万7000人。地方にある他の市町村と同様に高齢化が進み、65歳以上人口の割合(高齢化率)が35%に