ブックマーク / synodos.jp (167)

  • 人工知能――より多様に理解するための5冊/大山匠 - SYNODOS

    2010年代初頭に大きなブレイクスルーを迎えてからというもの、「人工知能(Artificial Intelligence, AI)」はあっという間に私たちの生活のすみずみに浸透した。周りを見渡せば、手元のスマートフォン、そこからアクセスするさまざまなウェブサービスやアプリケーション、あるいは自宅で稼働する種々の家電の中にも、形の違う「人工知能」のアルゴリズムが稼働している。 そうしたものの中にはあからさまに「AI搭載!」と打ち出しているものもあれば、サービスの裏側で静かに仕事をしているものもあるだろう。いずれにせよ、今や「人工知能」に全く触れずに一日を過ごすことは難しいほどである。その広がりを時系列にして書き起こしてみれば、スピードに驚かされるに違いない。 だが、改めてこの「人工知能」という言葉の意味するところを考えるならば、そこで指し示されている事柄は曖昧であると言わざるを得ない。かつて

    人工知能――より多様に理解するための5冊/大山匠 - SYNODOS
  • 趣味の社会学――文化・階層・ジェンダー/片岡栄美 - SYNODOS

    には経済的な格差はあっても、文化的な格差はあまり意識されることがない。たとえばクラシック音楽を好きな人が、JPOPも好きでカラオケをしていたり、あるいは古典文学を愛好しつつアニメも好きという人がいるので、文化はフラット化したとか、日文化的に平等だといわれることが多い。しかし当に文化の格差はないのだろうか。 20世紀後半を代表するフランスの社会学者、ピエール・ブルデューの理論と問題関心に導かれた著者は、計量的な社会調査やインタビュー調査を通じて、日文化実践や文化格差について研究を続けてきた。そして昨年、『趣味の社会学 文化・階層・ジェンダー』を上梓した。タイトルの「趣味」とは「テイスト」の意味であり、書は日における趣味やライフスタイルの階層性、文化による差異化、文化教育の再生産、階級のハビトゥスなど、文化的再生産とよばれる領域について、ブルデュー理論を日で検証した社

    趣味の社会学――文化・階層・ジェンダー/片岡栄美 - SYNODOS
  • 「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS

    拙著『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)を上梓してから、およそ3 か月になる。幸い、ドイツ史やロシア・ソ連史の専門家、また一般の読書人からも、独ソ戦について知ろうとするとき、まずひもとくべき書であるという過分の評価をいただき、非常に嬉しく思っている。それこそ、まさに『独ソ戦』執筆の目的とし、努力したところであるからだ。 残念ながら、日では、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の展開について、30 年、場合によっては半世紀近く前の認識がまかり通ってきた。日のアカデミズムが軍事や戦史を扱わず、学問的なアプローチによる研究が進まなかったこと、また、この間の翻訳出版をめぐる状況の悪化から、外国のしかるべき文献の刊行が困難となったことなどが、こうしたタイムラグにつながったと考えられる。もし拙著が、そのような現状に一石を投じることができたのなら、喜ばしいかぎりである。 しかし、上のような事情から、日

    「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS
  • 日本のプラスチックごみの行方を知って、冷静な議論を/小野恭子 - SYNODOS

    このところ、海洋プラスチックごみが海の生物などに与える影響に注目が集まっている。このため、使い捨てプラスチックの代表格とされるレジ袋が全面的に有料化されることになったという。しかし、この因果関係、何かおかしくない?と違和感を持った。 海洋プラスチックごみは、海岸で、または、海中に漂っているうちに摩耗して、マイクロプラスチックになる可能性がある。そのため、海に流出するのを極力防ぐことが重要である。そのため、プラ製レジ袋をもらわず、ペットボトルの飲み物を買わないという行動は一定の意義があると思う。しかし、海洋プラスチック問題解決のため使い捨てプラスチックの使用量を減らす、まずはレジ袋削減から取り組むと言われると、ちょっと待てよ、という気がしたのだ。 ここでは日は海洋プラスチックごみをどのくらい排出しているのか、そして日のプラスチックごみはどのように処理されているかをまとめ、プラスチックリサ

    日本のプラスチックごみの行方を知って、冷静な議論を/小野恭子 - SYNODOS
  • 「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS

    今年の夏もひどく暑かった。この暑さと人が排出したCO2の蓄積との因果関係などについては私には判断がつかないが、都市部の暑さの原因には人為的な要素が明らかにある。舗装道路の照り返し、エアコンの排熱、緑地の少なさなどは、少なくとも体感レベルには大きな影響を与えていると思う。地球規模の話をしなくとも、現在のこのような環境は人間が生み出している部分があることは否定できないだろう。 私の専門分野は環境倫理学であり、特に「都市の環境倫理」について考えている。現在、多くの人々は都市に住んでおり、都市環境とは我々にとっての住み場所としての環境である。都市は自然と対立させられ、都市=自然がない地域と表象されることもあるが、それは誤りである。都市部にも自然が存在する。そして都市部の自然こそこれから維持していかなければならないものなのだ。 このような問題意識を背景にして、『現代思想』(青土社)の9月号の「特集=

    「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS
  • 福島第一原発廃炉・トリチウム水処分を考える/木野正登氏×多田順一郎氏対談 / 服部美咲 - SYNODOS

    原子炉の運転を停止して施設を解体し、核燃料を安全に処理または貯蔵することを「廃炉」という(燃料や主要設備を取り去り、原子炉施設自体は解体せず、人が接近できない状態で保管管理する方法もある)。 2011年に事故が起きた東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」)1~3号機では、燃料が溶け落ちて、格納容器の内外に高濃度の放射能汚染が生じている上、津波と水素爆発によって施設が破損したため、通常の廃炉よりも多くの作業が必要となる。 福島第一原発では、事故で壊れた建屋からの核燃料の取り出しに加え、溶けて固まった核燃料(「デブリ」)などの取り出しという工程も含まれる計画だ。 使用済み核燃料は、取り出した後、万一大規模な災害などが起きても危険のない場所に一時保管される必要がある。福島第一原発の敷地内において、再度大津波が起きた場合にリスクの低い場所は海抜35mの高台エリアである。しかし今、高台エ

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  • カナダにおける知的障害者の脱施設化から日本が学ぶべきこと/鈴木良 - SYNODOS

    1.カナダと日 1980年代のカナダでは、100床以上の知的障害者入所施設(以下、施設)で、約1万名以上の人々が生活していた。オンタリオ州(以下、ON州)やブリティッシュコロンビア州(以下、BC州)には、2千床以上の施設すらあった。しかし、知的障害者の親の会や知的障害者人(以下、人)の会が、施設の暮らしに問題を感じはじめ、施設を閉鎖するための運動を起こした。そして行政も、運動団体の主張に応えて政策を実行した。 BC州では1981年に、障害者福祉を管轄する省庁長官が、州立施設3つを閉鎖すると宣言した。これらの施設では1980年代に、約1,500名の知的障害者が暮らしていたが、1996年に閉鎖された。またON州では、約6,000名の知的障害者が生活していた16の州立施設が、2009年に閉鎖された。これらの州では民間施設も閉鎖されている。しかし、マニトバ州、サスカチュワン州とアルバルタ州に

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  • 変容する世界のエネルギー地政図――IRENA Geopolitics 解説記事/古屋将太 - SYNODOS

    自然エネルギーの急速な普及拡大と従来型エネルギー資源の利用減少という流れのなかで、世界のエネルギー秩序はどのように変容していくのか。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がまとめたレポートから、変容する世界のエネルギー地政図を見ていきましょう。 IRENAは、2019年1月に開催された第9回総会でレポート「新しい世界:エネルギー転換の地政学(A New World: The Geopolitics of the Energy Transformation)」を発表しました。 IRENA(2019)「新しい世界:エネルギー転換の地政学(A New World: The Geopolitics of the Energy Transformation)」 このレポートは、IRENA事務局長のアドナン・アミン氏の呼びかけのもと、エネルギー政治・経済・貿易・環境と開発にかかわる世界のリーダーたち

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  • 「進化論」論争に見るアメリカの基盤――トランプ政策に煽られる文化戦争/藤本龍児 - SYNODOS

    進化論をめぐる論争 今年は、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(1959)が出版されてから160年目にあたる。よく知られているように、ここで提唱された「進化論」は、世界に大きな衝撃を与え、現在でも論争が続いている。 ダーウィンは、「自然選択」によって生物は進化する、と説いた。生物は時間をかけて変異し、環境に対して有利な変異をした種は保存され、不利な変異をした種は絶滅する、というのである。この自然選択説とグレゴール・メンデルの遺伝学説があわさり、そこにいくつかのアイディアが加わって、現在は「ネオダーウィニズム」として進化生物学の標準理論となっている。 とはいえ、まだネオダーウィニズムでは説明できない現象も少なくない。生物が進化してきたことは確かだとしても、いまだに、進化のプロセスを合理的に説明する科学的な理論は存在していないのである。こうした点をめぐる科学的論争は、DNAやゲノム編集、ある

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  • 入管法改正の論点――言及されたこと、されていないこと/加藤真 - SYNODOS

    入管法改正の論点――言及されたこと、されていないこと 加藤真 三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員 社会 日の外国人/移民政策が変革期を迎えている。昨年10月末に召集された第197回国会では、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」(以下、改正法案)が議論され、最終的に12月8日深夜に法案可決、12月25日に詳細な「基方針」や「分野別運用方針」が閣議決定された。2019年4月には、労働力不足に対応するために在留資格「特定技能」での外国人労働者の受入れが始まる予定である。 改めて、改正法案の可決・各種方針の閣議決定に至るまでの昨年1年間の流れを図表1にまとめている。 図表1 改正入管法及び法務省設置法制定に関わる経過 (資料)筆者作成。 図表1をみると、従来から日政府が堅持してきた、「国民のコンセンサスを踏まえる必要性などの理由から、労働力不足への対応の

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  • 中欧における「法の支配の危機」――EU内部に深まる亀裂/東野篤子 - SYNODOS

    中欧諸国は冷戦後、競い合うようにしてEUへの加盟を果たしてきた。とりわけ2004年にEU加盟を達成したポーランドとハンガリーは、中欧の「優等生」とみなされ、旧共産主義諸国の体制転換のサクセスストーリーを体現する存在であった。EU加盟実現後は、EU内部での地域間格差を解消するための「構造基金」をはじめとした多くの支援を受け、着実な経済成長を遂げてきた。 とくにポーランドに関しては2009年に、「EU大統領」とも称される欧州理事会常任議長のポストに、元首相のドナルド・トゥスクを就任させるに至っている。中欧出身の政治家がEUのトップに就いたことは、冷戦後のヨーロッパにおけるポーランドの地位の上昇を強く意識させる事例となっていた。 しかし2010年以降、ポーランドとハンガリーは、EUの基的な価値観とは相いれないさまざまな改革を推し進め、今ではヨーロッパ統合を揺るがせかねない「問題国家」とみなされ

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  • 情報技術と規律権力の交差点――中国の「社会信用システム」を紐解く/堀内進之介 - SYNODOS

    情報通信や情報処理に関わる技術の高度化によって、データとアルゴリズムは、グローバルなコミュニケーションのみならず、商取引や投票行動、医療、法執行、テロ対策などを含む、あらゆる人間活動と意志決定に多大な影響を及ぼし始めている。こうした変化は、しばしば「ビッグデータ革命」と呼ばれる。 政府機関は、先端技術の導入では民間企業に後れを取ることが多いが、近年では、民間企業が業種ごとに保有している行動履歴や購買履歴、通信履歴、閲覧履歴などのデータと、公的機関が保有するデータを抱き合わせることで、重要な決定を下そうという動きが活発になってきている。 たとえば、アメリカでは、犯罪予測、あるいは予測的ポリシングと呼ばれる分野で、そして、司法の現場で、データとアルゴリズムが活発に利用され始めている。 しかしながら、中国政府ほど、データとアルゴリズムの利用に野心的な政府は他にない。というのも、中国政府が2014

    情報技術と規律権力の交差点――中国の「社会信用システム」を紐解く/堀内進之介 - SYNODOS
  • 『ヴァンサンへの手紙』――フランスと日本、ろう文化の現在地 / レティシア・カートン監督×木村晴美 | SYNODOS -シノドス-

    2018年10月13日よりアップリンク渋谷で公開がはじまった映画『ヴァンサンへの手紙』。130年間にわたる手話の禁止が解かれてまもなく8年。フランスのろう者たちの姿を撮影した作はモントリオール国際映画祭ほか世界各国の映画祭で上映され、ろう者たちの強い共感と圧倒的な支持を得た。 ろう文化の現在地について、レティシア・カートン監督と国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官、NHK手話ニュース845キャスターの木村晴美氏に語ってもらった。(聞き手 / 牧原依里、文 / 大久保渉) 《作品紹介》 友人のヴァンサンが突然に命を絶った。彼の不在を埋めるかのように、レティシア監督はろうコミュニティでカメラを回しはじめる。美しく豊かな手話と、優しく力強いろう文化。それは彼が教えてくれた、もう一つの世界。共に手話を生き、喜びや痛みをわかちあう中で、レティシア監督はろう者たちの内面に、ヴァン

    『ヴァンサンへの手紙』――フランスと日本、ろう文化の現在地 / レティシア・カートン監督×木村晴美 | SYNODOS -シノドス-
  • 肉食と環境保護――非菜食主義の環境倫理学者が言えること / 熊坂元大 / 環境倫理学 | SYNODOS -シノドス-

    記事のタイトルには、環境倫理学という言葉が含まれている。環境倫理学を専門にする者としては肩身が狭いのだが、環境と倫理というそれぞれの言葉は理解できるにしても、環境倫理学という学問が何をするものなのかはよくわからない、という人は多いのではないだろうか。 簡たんに言えば、自然環境に関連する倫理的問題を扱うのだが、具体的な研究テーマをひとつあげれば、たとえば自然利用の利益と負担の分配の不公正(環境正義)がある。このなかでさらに、都市部と農村部のあいだの不公正、先進国と途上国のあいだの不公正、現在世代と将来世代のあいだの不公正など、さまざまな課題が考えられる。 これらの課題は、すべて自然を介した人間同士の関係における倫理的問題であるが、そこで考慮の対象となっていない問題もある。それは人間以外の存在、すなわち自然との関係における倫理的問題である。 私たちのほとんどは、自分に都合が良いから、あるいは

    肉食と環境保護――非菜食主義の環境倫理学者が言えること / 熊坂元大 / 環境倫理学 | SYNODOS -シノドス-
  • 人工知能を基礎情報学で解剖する/西垣通 - SYNODOS

    しばらく前のことだが、マイクロソフト社の開発したチャット・ボット(おしゃべりロボット)Tayがツイッターで不適切な発言をしたということで大騒ぎになった。ヒトラーの名をあげて人種差別的な攻撃をしたり、口汚くみだらな発言をくりかえしたりしという。一時的にサービスは停止され、マイクロソフト社は謝罪せざるをえなかった。TayはAI(人工知能)の自然言語処理技術にもとづくチャット・ボットだが、ソフトウェアそのものが悪いのではなく、一部のユーザが対話を通じてTayに「好ましくない調教」をほどこした、というのが真相のようである。 だが、なぜそんな大事件になったのだろうか。同様の差別発言をする人間は幾らでもいる。チャット・ボットつまりAIの発言だから非難が集中したわけで、そこにはAIは公平中立であり正確な知識をもっている、という一般人の思い込みがある。つまり、レイ・カーツワイルやニック・ボストロムなど超人

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  • インドネシアのイスラームと政治――「宗教的寛容」のゆくえ/見市建 - SYNODOS

    インドネシアは「寛容なムスリム大国」であるといわれてきた。人口の9割はムスリム(イスラーム教徒)であるが、キリスト教徒の政治家は珍しくない。 しかし、近年、宗教的不寛容が高まっているともいわれる。2016年末には、華人でキリスト教徒の州知事バスキ・プルナマ(通称アホック)が口にした「宗教冒涜発言」に対して、数十万人にもおよぶ大規模な抗議デモ「イスラーム防衛行動」が首都ジャカルタで起こった(注1)。アホックは州知事選に敗れ、2017年5月に宗教冒涜罪で、禁固2年の有罪判決を受けて収監された。 (注1)アホックは2012年に、現大統領のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)とペアで、ジャカルタ州知事選に立候補して副知事に当選。2014年、ジョコウィの大統領就任により、知事に昇格していた。「宗教冒涜」事件は、コーランの一節(「信仰する者よ、ユダヤ教徒やキリスト教徒を、指導者としてはならない。」卓章

    インドネシアのイスラームと政治――「宗教的寛容」のゆくえ/見市建 - SYNODOS
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    2016年2月、内閣府によってアイヌ民族に関する初の全国調査結果が公表された。それは驚きの結果であった。アイヌへの現在の差別や偏見について、回答者がアイヌの人々の場合には72.1%が「あると思う」と答えたのに対して、国民全体を対象とした同様の質問では、「あると思う」が17.9%と低く、両者の間にかなり大きな意識の差が見られたのである。 さらに見過ごせないのは、差別や偏見があると思うと回答するアイヌの人々のうち、実際に差別を受けたという割合は36.6%であった点である。差別が「あると思う」という割合からは低下するものの、今現在も、決して少なくはないアイヌへの差別が実際に「ある」様子がうかがえる。 しかし現状では、その具体的な不利益や不平等の内実について十分に明らかにされていない。アイヌの人々をめぐる差別の問題は、和人(アイヌ以外の日人)からアイヌ民族への差別というかたちで語り継がれ、認知さ

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  • 「もう一つの近代」という希望――長い帝国崩壊の過程のなかで/『イスラーム主義』著者、末近浩太氏インタビュー - SYNODOS

    「もう一つの近代」という希望――長い帝国崩壊の過程のなかで 『イスラーム主義』著者、末近浩太氏インタビュー 情報 #イスラーム主義#新刊インタビュー 現代の中東は「長い帝国崩壊の過程」にある。そして、「アラブの春」は一時的にフリーズされていたこの過程を再始動させた。だが、「あるべき秩序」をめぐる問いは、独裁者の復活や内戦の勃発、テロリズムの猛威によって抑え込まれてしまった。はたしてイスラーム主義は「もう一つの近代」という希望を灯すことができるのか? 『イスラーム主義』の著者、末近浩太氏に話を伺った。(聞き手・構成 / 芹沢一也) ――最初に書のコンセプトを教えてください。 書は、いくつかの「あいだ」というものを意識して書かれました。「あいだ」というのは、何かと何かの「あいだ」ということですが、ここでは、「どちらにも属さない」という意味ではなく、両者を「橋渡しする」という意味で用いていま

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  • みえない人道支援をみる――アフリカ遊牧社会の現場から/湖中真哉 - SYNODOS

    みえない人道支援をみる――アフリカ遊牧社会の現場から 湖中真哉 アフリカ地域研究 / 人類学 / グローバリゼーション研究 国際 #等身大のアフリカ/最前線のアフリカ#人道支援 シリーズ「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」では、マスメディアが伝えてこなかったアフリカ、とくに等身大の日常生活や最前線の現地情報を気鋭の研究者、 熟練のフィールドワーカーがお伝えします。今回は「最前線のアフリカ」です。 おそらく、この記事をご覧になっている現代日の読者の方々の大多数は、人道支援を必要とするような毎日を生きているわけではないであろう。私たちが暮らす日の社会にも多くの課題が山積しており、その中には人道的な危機と呼ぶべきものもある。たとえば、東日大震災は私たちの国家を襲った人道的な危機として記憶に新しい。それなのに、なぜ、私たちは、遠い東アフリカ遊牧民の人道支援の問題を考えようとしているのだろう

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  • 歴史のなかの日中関係――清末から現代までの120年間の歴史を振り返る/『中国ナショナリズム』著者、小野寺史郎氏インタビュー - SYNODOS

    歴史のなかの日中関係――清末から現代までの120年間の歴史を振り返る 『中国ナショナリズム』著者、小野寺史郎氏インタビュー 情報 #日中関係#新刊インタビュー#中国ナショナリズム 西洋列強や日に蚕されてきた19世紀半ばから、「恥辱」を受ける以前の「輝かしい過去」への回帰を目指してきた中国。そしていま、大国となった中国は「中華民族の偉大なる復興」を掲げている。『中国ナショナリズム』の著者、小野寺史郎氏に、清末から現代までの120年間の歴史を振り返っていただいた。(聞き手・構成/芹沢一也) ――最初に、伝統的な中国王朝について教えてください。「中華」とはどう理解すればよいのでしょうか? 私が来専門とする時代は19世紀末から戦前辺りまでなのですが、昨年出版した『中国ナショナリズム』で一番批判をいただいたのが、序章の「伝統中国の世界観」に関する説明でした。「伝統」と一口に言っても、実際には当

    歴史のなかの日中関係――清末から現代までの120年間の歴史を振り返る/『中国ナショナリズム』著者、小野寺史郎氏インタビュー - SYNODOS