上の写真は、北九州市にある「八幡市民会館」の2019年2月時点の姿です。2016年3月末に閉館されてからすでに3年。長く使われないままの建物は、荒廃が進んでいるように見えました。 「八幡市民会館」は、20世紀日本を代表する建築家のひとり、村野藤吾による1958年の作品です。自ら「八幡出身(生地は唐津)」と語った村野が故郷に遺した作品として、また、戦災で甚大な被害を被ったかつての「八幡市」の復興を象徴する建物として、郷土史的にも重要な建物です。 私が東京から北九州市に引っ越してきたのは2016年4月だったので、「八幡市民会館」を利用したことはありません。すでに閉鎖され、内部の見学もできませんでした。ですが、北九州市に来て「八幡市民会館」の存廃問題に接したことが、結果として、その後も村野や前川國男などの作品について学び、取材するきっかけになっています。ここでは、「八幡市民会館」を巡るこれまでの