2回ほど前のマル激トークオンデマンドでは、生物学者の福岡伸一さんがゲストに招かれていた。そこでなされていた議論の中心は生命についてなのだが、それ以上に印象に残った言葉は、福岡さんがスキーを習ったときのエピソードだった。そこに、教育というものの最も大切な要素である「他者への伝達」の本質が語られていたように感じたからだ。 福岡さんがスキーのインストラクターについて習ったときに、まずは見本のように滑って見せて、さあこのようにやってくださいというようなことを言われたらしい。しかし、自他ともに認める運動音痴の福岡さんにしてみれば、「見たように身体を動かす」ということがいかに難しいことであるかが、インストラクターには伝わらない。 だから、もちろん見たような動きでは滑れないのだが、それを見てインストラクターは、「どうしてこんな簡単なことがあなたにはできないのですか?」というような目で福岡さんを見ているよ