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ブックマーク / realsound.jp (133)

  • 『F-ZERO』2作のSwitch復刻とともに振り返る、開発会社「朱雀」が残した作品たちとその軌跡

    2023年3月28日、ニンテンドー3DSとWii Uのオンラインショップ「ニンテンドーeショップ」のサービス終了で、新規の購入が難しくなっていたこの2作。「Nintendo Switch Online + 追加パック」の加入者に限られるが、今回の配信によって無料で遊べるようになった。しかも、『F-ZERO ファルコン伝説』は、Wii Uバーチャルコンソール版ではカットされた「カードeリーダー+」の追加コンテンツが体験可能な最新版だ。 『F-ZERO ファルコン伝説』(『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』より)の「カードeリーダー+」の追加要素。満を持して体験できる時がきた……! 『F-ZERO ファルコン伝説』と『F-ZERO CLIMAX』の2作は、いずれもゲームボーイアドバンスのハード性能を活かしきった良作だ。特に『F-ZERO CLIMAX』は、豊

    『F-ZERO』2作のSwitch復刻とともに振り返る、開発会社「朱雀」が残した作品たちとその軌跡
  • 佐久間宣行が注目する若手作家・小原晩対談 話題作『これが生活なのかしらん』と「創作」について

    現在話題となっているエッセイがある。小原晩の『これが生活なのかしらん』(大和書房)だ。小原氏が自らインディー出版として発行した『ここで唐揚げをべないでください』が独立系書店や読者家たちの口コミによって話題を集め、1万部を超えるヒットとなり、ついで発表された作も話題を集めて、重版につぐ重版で着実に部数を伸ばしている。 そんな小原氏の2冊の書籍に注目しているのが佐久間宣行氏だ。 佐久間宣行のYouTubeチャンネル「NOBROCK TV」や自身のXでも小原氏の書籍を紹介。その才能を高く評価している。今回はそんな佐久間氏と小原氏によるリモート対談が実現。小原氏の書籍の魅力に触れながら、2人が思う「言葉」と「創作」について語り合っていただいた。 佐久間宣行(写真左)は小原晩(写真右)の才能を高く評価する ■ムチャムチャ良かった『これが生活なのかしらん』 ――佐久間さんは、お笑いユニット・ダウ9

    佐久間宣行が注目する若手作家・小原晩対談 話題作『これが生活なのかしらん』と「創作」について
  • 『がんばっていきまっしょい』30年越しの“アニメ化”の評価は? ボート競技の“延長”の意味

    敷村良子の小説『がんばっていきまっしょい』は息の長い作品である。1995年に第4回坊っちゃん文学賞大賞を受賞した作は、1998年に映画化されロングラン、後に2005年にTVドラマ化。そしてこの2024年にはアニメ映画化……『あした世界が終わるとしても』などを手掛けた櫻木優平が監督した作もまた、原作執筆から30年近く経った今でも決して古びていない原作のポテンシャルを存分に発揮した一作となった。 原作の発表から約30年経っているという事実を踏まえて今回の「アニメ化」に立ち会うとき、そこで見えてくるものとは何だろうか。「ボート競技」の物語が長きにわたり「延長」されたことは何を意味するのか。ボート部の活動に打ち込んだ彼女らの軌跡を追うことで考察しようと思う。 作の主人公・村上悦子は、一言で言えば「諦めた少女」だ。幼い頃は体格に優れ足も速くリーダー的存在だったが成長するにつれみんなに追い越され

    『がんばっていきまっしょい』30年越しの“アニメ化”の評価は? ボート競技の“延長”の意味
  • 取次大手「トーハン」小規模書店向けの新サービス10月17日開始 現役の本屋店主はどう見た?

    取次最大手トーハンは、小規模書店に向けた配送サービス「HONYAL(ホンヤル)」の開始を発表 書店取次大手のトーハンが、10月17日、小規模書店に向けた配送サービス「HONYAL(ホンヤル)」を開始したと発表した。配の対象から雑誌を外し、書籍に限定する。ほかにも、週1回程度の配とするなど制約は多いものの、書店への参入障壁が下がる画期的なサービスといえる。 昨今、書店の閉店が相次いでおり、書店がない自治体の数が増加傾向にある。数年前は、老舗の書店がなくなり、チェーンの書店ばかりになってしまう……という傾向にあったが、最近ではなんとチェーンの書店も撤退してしまう厳しい状況に陥っていた。 そんななかで注目を集めているのが、個人経営の書店である。従来の個人経営の書店と一線を画すのは、店主の趣味やこだわりが如実に反映された店作りがなされている点だ。例えば、地質学が好きな店主の書店なら、地層や化石

    取次大手「トーハン」小規模書店向けの新サービス10月17日開始 現役の本屋店主はどう見た?
    triceratoppo
    triceratoppo 2024/10/24
    「本」ってコンテンツの枠組みでしかない。大事なのはコンテンツの質。「CD」が廃れても音楽は無くなってない。売り方どうこうやマーケティングも大事だけど、コンテンツに注力すべきだと思う。
  • 好調出版社『アルファポリス』 ベストセラー連発の生え抜き編集者・滝澤友梨に聞く、ヒット量産の秘訣は?

    アルファポリスの生え抜き編集者・滝澤友梨氏。何よりも漫画好きの編集者であり、作品づくりだけではなく、ヒットを生み出すためにさまざまなインプットとアイデアを生み出すことに労力を厭わない努力家でもある 活況を呈する電子書籍市場において、圧倒的な存在感を誇るのが「アルファポリス」である。アルファポリスは2000年の設立。半世紀以上の歴史をもつ企業が多い出版業界のなかでは若い出版社といえるが、数々のヒットを連発し、今年も5作品がアニメ化され、漫画好きにとって無視できない存在になっている。 いったいなぜ、ヒットを連発することができるのだろうか。今回、コミカライズ作品で話題作を連発している編集者・滝澤友梨氏にインタビュー。滝澤氏は、漫画と担当作品を誰よりも愛し、作家と二人三脚で創り上げていく、情熱溢れる編集者であった。 ■編集者個人の“好き”を優先させてくれた 『最後にひとつだけお願いしてもよろしいで

    好調出版社『アルファポリス』 ベストセラー連発の生え抜き編集者・滝澤友梨に聞く、ヒット量産の秘訣は?
  • ちくま新書・橋本陽介編集長インタビュー「テーマが問いの形になっていた方が読者は受けとめやすいのではないか」

    筑摩書房のちくま新書は、1994年の創刊から今年9月で30周年を迎えた。10月発売の新刊6点で総刊行点数は1838点となり、累計発行部数は3200万部を超えている。また、同社は、若い読者むけの「プリマー=入門書」という位置づけで、2005年よりちくまプリマー新書も刊行している。今秋、全国の書店で開催した創刊30周年フェアで「問い」をテーマに掲げたちくま新書は、どのように歩んできたのか。橋陽介編集長に聞いた。(円堂都司昭/9月30日取材・構成) 坂爪真吾『性風俗のいびつな現場』に手応え 橋陽介編集長 ――筑摩書房に入社した経緯は。 橋:最初は書店のリブロに入社し3年間働きました。書店員の田口久美子さんが書かれた『書店風雲録』を読んで屋に興味を持ち、入社試験を受けたんです。『書店風雲録』には人文書を売ることが1980年代の華々しい話として書かれていて面白かった。ただ、就職氷河期の就活当

    ちくま新書・橋本陽介編集長インタビュー「テーマが問いの形になっていた方が読者は受けとめやすいのではないか」
  • サンジゲン 松浦裕暁が語る、CGアニメの現在地 『MyGO!!!!!』の“ハイブリッド”な魅力

    アニメスタジオに潜入し、スタッフへのインタビューを通してそのスタジオが持つ“独自性”に迫る連載「アニメスタジオのここが知りたい!」。第4回となる今回は、スタジオ代表である松浦裕暁の目線から「サンジゲン」の魅力を掘り下げていく。(編集部) 手描きのアニメ大国である日において、3DCGといかに向き合うかは制作上の重要な論点であり続けた。日CGアニメの先駆者サンジゲンは、CGでいかに日アニメらしさを表現するのかを追求し続けてきた会社だ。そのサンジゲンの最新作劇場版『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』(以下、『劇場版MyGO!!!!!』)が前後編2部作で公開、現在は前編『春の陽だまり、迷い』が公開中だ。 2023年に放送された同作のTVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!! 』(以下、『MyGO!!!!! 』)は、人物描写の深まりとともに表現の進

    サンジゲン 松浦裕暁が語る、CGアニメの現在地 『MyGO!!!!!』の“ハイブリッド”な魅力
  • 『ボルテスV』はなぜフィリピンで愛された? 現地人監督が語る、“母系社会”ならではの熱狂

    今から47年前に日で放送されたテレビアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』(1977年)。前年の『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976年)に続いてアニメ演出家の長浜忠夫が監督を務め、敵側にも悲劇的なドラマを持たせたドラマ作りが高く評価された。従来のロボットアニメに多かった勧善懲悪の図式から脱し、敵味方双方のバックボーンを1年にわたって掘り下げた大河ドラマ的な作りは多くのファンに支持され、現在では『ボルテスV』の後番組『闘将ダイモス』(1978年)も含め、“長浜ロマンロボ”シリーズという括りで愛されている。 その『超電磁マシーン ボルテスV』は海の向こうフィリピンで絶大な人気を誇り、主題歌はフィリピンの第2国歌といわれるほどの熱狂ぶりで、現地の人々が日語のまま歌えるという。2023年には現地で遂に実写版『ボルテスV レガシー』が連続テレビシリーズとして放送され、映画も製作された。日

    『ボルテスV』はなぜフィリピンで愛された? 現地人監督が語る、“母系社会”ならではの熱狂
  • 「リブレ」「大洋図書」が牽引する「商業BL」事情、次なる覇者は? 識者が解説する人気出版社の業界地図

    一大ジャンルとなった「商業BL」。その人気は国内だけに留まらず、海外でも多くのファンを獲得している。商業BLの市場が拡大するに連れ、出版社ごとの特徴多様化。バラエティに富んだレーベルが次々に生まれている。 そこで株式会社サンディアスが運営するBL情報サイト「ちるちる」編集部に、気になる昨今のBLレーベル事情や人気ジャンルについて聞いた。日のみならず、海外も含めた現在の、BL事情をマッピングしていく。 ◼️映像化の人気作揃う「リブレ」と「大洋図書」がBL界牽引 さんかく窓の外側は夜 1(リブレ) ちるちる編集部の調査によると、現在のBLレーベルとして先頭を走るのは、「ビーボーイコミックス」「ビボピーコミックス」などのレーベルを持つ出版社リブレ。2024年上半期だけで約70冊を刊行し、BL業界を牽引している存在だ。『抱かれたい男1位に脅されています。』や『さんかく窓の外側は夜』など、映像化も

    「リブレ」「大洋図書」が牽引する「商業BL」事情、次なる覇者は? 識者が解説する人気出版社の業界地図
  • 「なにが歴史的事実かという議論になると、限りない泥沼に陥っていく」 慶應大教授に聞く、歴史学のプロセスとその意義

    慶應義塾大学経済学部教授の松沢裕作氏による新書『歴史はこう考える』(ちくま新書)が、9月9日の発売直後に重版が決定するなど、歴史好きの間で話題となっている。 同書は、史料をひたすら読み込んだり、あるいは過去の出来事の是非について論争したりといったイメージが先行する歴史学者たちが、実際にはどんなプロセスを経て研究をしているのかを、さまざまな論文の例を挙げながら著した一冊だ。 昨今のSNSなどでは、歴史に関しての論争が繰り広げられることが多く、特に「なにが事実か」を巡ってぶつかり合うケースが目立つが、松沢氏はそのような論争の前に、まずは歴史学のプロセスを知ることが重要だと説いている。その真意について、詳しく語ってもらった。(編集部) 松沢裕作『歴史学はこう考える』(ちくま新書) ――書『歴史学はこう考える』は、早くも重版が決まるなど、大きな反響を呼んでいます。 松沢裕作(以下、松沢):こんな

    「なにが歴史的事実かという議論になると、限りない泥沼に陥っていく」 慶應大教授に聞く、歴史学のプロセスとその意義
  • 『虎に翼』朝ドラ史上最高視聴者数をNHKプラスなどで記録 CP「感謝の気持ちでいっぱい」

    9月27日に最終回(9月28日は1週間の振り返り)を迎えたNHK連続テレビ小説『虎に翼』より、尾崎裕和制作統括のコメントが寄せられた。 2024年度前期、NHK東京が製作を務めた作は、日初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性を描いたリーガルドラマ。NHKよるドラ『恋せぬふたり』で向田邦子賞を受賞、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)などを手がけてきた吉田恵里香が脚を担当した。 リアルタイムとタイムシフトによるNHK総合での視聴全話平均視聴者数は1773.7万人。NHK BSでの視聴者数との合計数は2067.4万人となった。(※1) 総合視聴率は、個人視聴率が関東で平均13.7%、関西で11.8%、世帯視聴率が関東で23.9%、関西で21.2%を記録した。(※2) NHKプラスでの平均視聴UB数は44.9万で、歴代連続テレビ小説の中で最も高い平均視聴UB 数

    『虎に翼』朝ドラ史上最高視聴者数をNHKプラスなどで記録 CP「感謝の気持ちでいっぱい」
  • 大垣書店、好調の要因は? 常連客の経営評論家・坂口孝則が分析ーー読書家から信頼される取り組みとは

    森ビルなどが約35 年かけて進めてきた「麻布台ヒルズ」。東京都心の一等地の場所に「大垣書店」は店舗を構えている 連日のように、書店の危機が騒がれている。地方はもとより都心の大型書店やチェーンの書店も相次いで閉店するなど、書店を取り巻く情勢は厳しさを増している印象を受ける。 そんななか、苦しいと言われる書店業界の中で、業績を伸ばしているのが1942年創業の老舗書店チェーン「大垣書店」である。京都に店をおく大垣書店は、書店員の裁量に任せた売り場づくりや地域密着の品ぞろえでじわじわとファンを増やしている。そのこだわりは読書家からも支持を集めているのだ。 多くの書店に足繁く通う坂口孝則氏。大垣書店好調の理由を語っていただいた。 大垣書店を愛し、熱心に通うと話すのが経営評論家の坂口孝則氏である。坂口氏は仕事上でもを買うことが多く、月の書籍代が多い時で約30万円に達するという無類の読書家だ。大垣書

    大垣書店、好調の要因は? 常連客の経営評論家・坂口孝則が分析ーー読書家から信頼される取り組みとは
  • OGRE YOU ASSHOLEが追い求める“完全な不完全状態” 閉塞的なクリエイションへの静かな問いかけ

    OGRE YOU ASSHOLE(以下、OYA)が、前作から5年ぶりとなるフルアルバム『自然とコンピューター』を発表した。昨年のEP『家の外』以来、俄然存在感を増してきた電子音が、もう一段階も二段階も大胆かつ効果的に用いられ、バンドの演奏との一種異様な配合ぶりを聴かせている。今作は、常に自らの演奏・録音表現の刷新を続けてきたOYAの長いキャリアを振り返ってみても、特に野心的な内容と言えるだろう。共同作曲・作詞を務めるフロントマンの出戸 学(Vo/Gt)に、新機材の使用法をはじめとする制作の実際から、「創造性」に関する思索・問題意識に至るまで、じっくりと話を聞いた。(柴崎祐二) アナログシンセから生まれる歪みやちぐはぐ感 ――前作EP『家の外』でもシンセサイザー類が多用されていましたが、今回のアルバムはそれにも増してエレクトロニックな要素が強くなっていますね。 出戸 学(以下、出戸):コロナ

    OGRE YOU ASSHOLEが追い求める“完全な不完全状態” 閉塞的なクリエイションへの静かな問いかけ
  • 菊地成孔 × 福尾匠「音楽と哲学の憂鬱と官能」対談 音楽と哲学それぞれの“引用”について

    哲学研究者・福尾匠氏と音楽家・菊地成孔氏の対談イベント「音楽と哲学の憂と官能」が8月9日にジュンク堂書店池袋店で開催された。 福尾氏が博士論文を元に刊行した新刊『非美学 ジル・ドゥルーズの言葉と物』は、哲学と芸術の関係を論じたドゥルーズ論=批評論。一方、対談『たのしむ知識 菊地成孔と大谷能生の雑な教養』(毎日新聞出版刊)を刊行した菊地氏は、これまでに映画、文芸、精神分析など幅広い領域をジャンル横断的に論じてきた。音楽活動においては、レヴィ=ストロース、スーザン・ソンタグ、浅田彰などの思想家の言葉を引用したタイトルの作品を発表している。 二人は今回が初めての対面とのこと。体調を崩してしまったという菊地氏は遅れて登場したため、壇上で初めて言葉を交わすことに。福尾氏の新刊の話題を起点に、哲学者と芸術家の関係性について語り合った。(篠原諄也) 左、菊地成孔。右、福尾匠。 菊地:このたびはあり

    菊地成孔 × 福尾匠「音楽と哲学の憂鬱と官能」対談 音楽と哲学それぞれの“引用”について
  • 「人手なさすぎ」漫画家・峰倉かずや 切実なスタッフ募集が話題「アナログ作業できるアシスタントがいない」

    ■アナログで作業ができるアシスタントがいない アニメ化もされたヒット作『最遊記』シリーズで知られる漫画家・峰倉かずやのポストが話題になっている。峰倉は9月28日、「時代的に難しい事は承知ですが、アナログ原稿の作画アシスタントさんを切実に募集中です」とアシスタント募集の告知をポストし、「人手がなさすぎて今回背景以外の全トーンを私と事務員さんで貼ってる」と、来アシスタントが手掛ける作業を自身で行わなければならない悩みを打ち明けている。 【急募】 時代的に難しい事は承知ですが、アナログ原稿の作画アシスタントさんを切実に募集中です。 背景が描ける方は滅茶苦茶助かるのですが、トーン作業経験のみの方も大歓迎です…! (人手がなさすぎて今回背景以外の全トーンを私と事務員さんで貼ってるので) ぜひ一迅社までお問い合わせ下さい🙏 https://t.co/97pmNErI2a pic.twitter.c

    「人手なさすぎ」漫画家・峰倉かずや 切実なスタッフ募集が話題「アナログ作業できるアシスタントがいない」
  • 追悼・福田和也「保守革命主義者のとんかつとアジビラ、その享楽」 ーー絓秀実・寄稿

    福田和也『遥かなる日ルネサンス』(文藝春秋) とんかつを福田和也と一緒にべたことがある。今となっては定かには思い出せないが、福田がまだSFC(慶応大学環境情況学部)の助教授に就任する以前、慶応大学文学部(三田)の非常勤講師をしていた頃だから、1990年代初めのことである。 私は1991年秋には福田と多少の面識を得ていた。1990年に滞在していた米国の大学図書館で、日の言論状況を知るべく偶々読んだ雑誌に掲載されていた福田の『遥かなる日ルネッサンス』の一部に接し、若いらしいが聡明な「保守」の登場が、記憶に刻まれていた。 1991年の帰国後、これまた偶々、ある酒場で遭遇して互いに自己紹介したのが最初である。ただ、それ以前から「福田」という名前は知らずとも、コラボラトゥールをやっている面白い研究者が、国書刊行会の周辺にいるらしいことは、蓮實重彦から漏れ聞いていた。 『奇妙な廃墟』(1990

    追悼・福田和也「保守革命主義者のとんかつとアジビラ、その享楽」 ーー絓秀実・寄稿
  • 河合優実主演『ナミビアの砂漠』の強烈なオリジナリティ 山中瑶子監督による“決意の一石”

    『バービー』(2023年)、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020年)など、近年至るところで、差別的な環境に生きる女性が主体的な生き方を模索する姿を力強く描く映画が製作されている。そんななか、圧倒的に個性的でありながら、これらの作品に並ぶほどの衝撃を放つ作品が、日からも出現することとなった。それが、山中瑶子監督、河合優実主演の『ナミビアの砂漠』である。 その軽やかながら、凄まじい強度を併せ持った内容は話題を呼び、映画館で満席の回が続くなどの活況をもたらした。心が撃ち抜かれたり、ワイルドな道を歩む主人公に共感したという観客の声も後を絶たない。しかしそれでもなお、この映画は十分に評価されているとはいえないのかもしれない。なぜなら作『ナミビアの砂漠』は、社会における変革の過渡期といえる、この時代のカルチャーを代表する一作になったり、世界の映

    河合優実主演『ナミビアの砂漠』の強烈なオリジナリティ 山中瑶子監督による“決意の一石”
  • 山田尚子「SNSが世の中を喰っている」 『きみの色』で“若者の社会性”を描いたきっかけとは

    映画けいおん!』『映画 聲の形』などの作品でタッグを組んできた山田尚子監督、吉田玲子脚の新作アニメーション映画『きみの色』が8月30日より公開中。山田が得意とする「音楽×青春」の物語として、すべての観客の「自分の“好き”」を肯定してくれる一作だ。 リアルサウンド映画部では監督を務めた山田にインタビュー。作で“社会性”を描こうと思った自身の原体験から、画面の色使いや音楽演出の意図を聞いた。そして作の舞台はなぜ「カトリック系のミッションスクール」だったのか。山田監督がそこに意図していたものとは。 「答えは1つじゃない、なぜなら人の形は1つじゃないから」 ーー公式サイトに掲載されている企画書の文章には、作で“社会性”を描きたかったとありました。それをテーマに掲げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 山田尚子(以下、山田):今回の作品で“社会性”、とくに高校生のものさしでの“社会

    山田尚子「SNSが世の中を喰っている」 『きみの色』で“若者の社会性”を描いたきっかけとは
  • 〈少女漫画誌〉部数減少の原因は? 漫画編集者に聞く、雑誌離れだけではない問題点

    集英社の少女向けまんが誌「りぼん」8月号 少女漫画雑誌が軒並み苦境に陥っている。日雑誌協会が8月7日に公表した2024年4月〜2024年6月の3ヶ月ごとの平均印刷部数によると、「りぼん」が約11万8333部で、「ちゃお」が約10万6667部。かつて「りぼん」は約250万部、「ちゃお」は約100万部を突破していたことがあったが、部数が深刻に落ち込んでいることがわかる。 【写真】「りぼん」8月号付録は世界的大人気ホラーゲーム「Poppy Playtime」との豪華コラボ 数ある少女漫画雑誌のなかでも、「りぼん」「なかよし」「ちゃお」は“3大少女漫画雑誌”と言われている。しかし、現在「なかよし」は約2万8667部まで減少。『美少女戦士セーラームーン』の連載時には約200万部を発行していたことを考えると、約71分の1まで部数が減少してしまったことがわかる。 他の少女漫画雑誌の部数を見てみると、「

    〈少女漫画誌〉部数減少の原因は? 漫画編集者に聞く、雑誌離れだけではない問題点
  • 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』大ヒットで注目 スターツ出版「感動プロデュース」戦略を読む

    『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』『鬼の花嫁』『すべての恋が終わるとしても』といった、読者の感動を強く誘う作品を続々と送り出し、「感動プロデュース企業へ」という経営ビジョンを着実に遂行しているスターツ出版。老舗の文芸出版にはないフットワークの軽さと、ティーンや女性といった読者層のニーズをとらえる企画力で躍進を続けている。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の映画が興行収入45億円の大ヒット作となったこともあり、出版界全体でアクションやミステリーとは違ったエモーショナルな作品を探す動きが強まる中、作品を集めつつ読者層を広げて存在感を高めていこうとしている。 人気漫画を原作にした『キングダム』の映画が好成績をあげる中、同じ実写の邦画でこれに迫る好成績をあげた映画が『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』だ。スターツ出版文庫から刊行中の汐見夏衛による小説が原作で、現代の女子高生が

    『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』大ヒットで注目 スターツ出版「感動プロデュース」戦略を読む