料理研究家の土井善晴さんが2016年『一汁一菜でよいという提案』を上梓され、30万部を突破。「永遠の悩みから解消された」「料理が好きだったことを思い出した」など多くの反響が寄せられました。家庭料理界の救世主となった土井さんが、一汁一菜という思考に至る人生の紆余曲折を記したのが、初の新書『一汁一菜でよいと至るまで』。インタビューでは、土井さんの影の立役者であるご家族とのこと、家庭料理を担う人々を追い詰める重責とは何か、など多岐にわたって伺いました。(構成◎岡宗真由子) みんなレシピ本に追い詰められてきた そもそも、仕事や趣味(遊び)は、暮らしとつながっているものです。そういう意味で、女性はきちんとそれらをつなげて、地に足をつけて生きている方が多いですよね。その点男性は、私の父親世代くらいまでは、日常的に釣りや河岸で手に入れた魚を捌いたり、包丁を研いだり、生活や食に関わってきた。でも高度経済成