地球はいかにして月という衛星を獲得するにいたったのか? これは長きにわたり議論されている謎だ。 「ジャイアント・インパクト説」では、初期の地球が「テイア(太陽系の仮説上の原始惑星)」という天体と衝突した結果、月が形成されたと説明する。 この仮説は、月の形成理論としてはもっとも有力視されているが、具体的なことになると曖昧な部分がある。実際、この説ではうまく説明できない観察結果もたくさん報告されている。 『Nature Geoscience』に掲載された最新の研究は、これに関する最大の疑問点に光を当てている。 ――仮にテイアが衝突して月が誕生したとして、なぜ月はテイアではなく、地球とほとんどそっくりになったのだろうか? 月と地球が似ているのはなぜ? じつは月と地球はとても良く似ている。もちろん見た目のことではない。その構成がほとんど同じという意味だ。 違いと言えば、地球に比べれば、月には鉄が少