戦後72年。かの戦争体験の声が次第に聞けなくなっている今、証言者たちの“孫世代”の中に、声を拾い、研究を深め、表現をする人たちがいる。 戦争から遠く離れて、今なぜ戦争を書くのか――。 インタビューシリーズ第4回は弁護士で戦史研究家の清水政彦さん。2009年、30歳で著した『零式艦上戦闘機』は、従来語られてきた「零戦神話」を緻密な検証により覆し、話題の書となった。以降、零戦を中心とした航空機研究の視点から戦史をドライに分析し続ける清水さんに、なぜ「戦争」を書き続けるのかを伺った。 ◆ 飛行機が好きになったきっかけは、柔道整復師の先生がくれた『丸』 ――戦史を研究するようになった入り口は、歴史方面からなんですか? それとも飛行機方面から? 清水 完全に飛行機好きだったからですね。私、もともと絵を描くのが好きで、画家になりたかったんですよ。子どもの頃、最初は電車、次に船っていうふうに画の題材を変