《『Voice』2012年12月号より》 『攻殻機動隊』でネットワークに覆われる世界を描いた押井氏と、iモードで人びとの「つながり」を変えた夏野氏。異色の二人が語った「常時接続」時代におけるコミュニケーションの本質とは。 人間とロボットの境界線がなくなる時代 夏野 私は押井さんがつくるアニメーション作品の大ファンで、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年/以下、『攻殻』)も『イノセンス』(2004年)も何度も見ました。いまあらためて思うのは、時代が『攻殻』の世界に近づいてきたということです。たとえばiPadでは、情報を目からインプットし、手を使ってアウトプットする。これをBluetooth(近距離無線通信規格)のヘッドセットをして、考えただけで電気信号が飛んで検索が行なわれ、その結果が視覚に直接飛び込んでくるといった具合に、「目や手を介さない」インプットとアウトプ