『本邦の図書館界(十三)』(岡山中央図書館)によると、 戦場移動図書館 戦地にゐる将兵の無聊を慰め、又インテリ出身者の文化的欲求を満すため、北支と上海の全戦線に亘つて移動的な戦場図書館を設置すべしとの計画が文部省成人教育課から発案され、目下同省内にある日本図書館協会が中心になつて雑誌協会、出版協会及び各地の公私立図書館等と連絡を執り、陸海両省の諒解も得て具体的な準備を進めてゐる、遅くとも今月末までには興味ある新刊雑誌や啓蒙的な単行本を、第一回分として戦地に送り届け事務員も内地図書館関係から選抜して現地に派遣し、日本では最初の戦場移動図書館を出現させる予定である、この戦場移動図書館は欧洲大戦で西部戦線が膠着状態に陥つた時、兵士の文化的要求に応へて英吉利がキヤンプライブラリーとして初めて設置し好成績を挙げて以来聯合軍全体に普及したものであるが、日本では今度の事変が初めてゞある。(昭一二・一一・