◆たんなる好事家の趣味ではない◆ 当初、今回は消費増税をテーマにする予定だった。アベノミクス/黒田日銀によるインフレ目標政策とそのための金融緩和で、景気は徐々に回復しつつあるが、まだ十分ではない。いまここで増税による重荷を背負わせれば、また腰砕けになる可能性も高い。それに消費税の税率を上げたからといって、税収が増えるとは限らない。消費税の税収は増えても景気が低迷すれば、全体としての税収はかえって下がり、そもそもの狙いだったはずの財政再建さえ達成できない可能性も高い。いずれ税率を引き上げるにしても、いまそれをやる必要はない。いまは見送るべきだ――書こうとしていた内容はおおむねこれに尽きる。 が、執筆中の8月半ば、富田倫生の訃報が飛び込んできた――と書いて、誰のことやらご存じの方が何人いることだろうか。著作権切れの文書をボランティアの活動で電子化し、フリーで公開している青空文庫の呼びかけ人
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