時に人は大切な物を見失ってしまう。 いや、ことはもっとやっかいかもしれない。 なんせ、僕は大切な夢を忘れていたのではなく、今はできない理由を色々とくっつけて「いつかやりたい」と永遠にできそうもないところに追いやってしまっていたのだから。 ○○ 僕にとってコンピュータというのは常に憧れの象徴であった。 幼少の頃に親戚の家で出会ったPC-9801RXに心を奪われた。5インチのフロッピーディスクを読み書きするけたたましい音と訳の分からない文字の羅列の後、信長の野望のタイトル画面が表示された。親戚の兄ちゃんが作っている途中だというブロックの崩れないブロック崩しを見せて貰った時、ただひたすらにワクワクした。 時が流れて、中学生になったとき、念願のパソコンを手に入れた。コンパックのプレサリオCDS520という一体型のDOS/Vマシンである。本当はPC98シリーズが欲しかったが、プレサリオが10万円で手