長生きはしてみるもので、きのうの朝日、毎日両新聞の1面にそろって「国益」という活字が躍っていた。朝日新聞ではコラムでも使っており、「国益」より「平和と民主主義」が大事だと考えておられる両紙の愛読者はさぞ失望されたのではないか。 ▼両紙ともに、安倍晋三首相の靖国神社参拝に中韓はもとより、米国も「失望した」と表明したのを喜ぶかのように「国益を損なった」と筆をそろえている。日ごろの紙面からは、想像できぬほど国益を重視する筆致に感心した。確かに、中国、韓国の対日嫌がらせは増し、進出企業が少なからぬ損害を受けるのは免れまい。 ▼日中韓の首脳会談実現も望み薄だ。ただし、参拝せずとも対中韓関係は冷え込みっぱなしだったから、影響は「雪の上に霜がおりる」程度にしかすぎない。むしろ、首相の靖国参拝で得られた国益はかなり大きい。 ▼第一は、首相が公約を守ったという事実だ。アベノミクスがうまくいっているのに中韓と