ブックマーク / nix-in-desertis.blog.jp (31)

  • nix in desertis:2023年の視聴アニメの感想

    去年の。4ヶ月遅れながら,書かないと2023年が終わらないので書いておく。感想コメントをつけられるものはつけ,何も思い浮かばなかったものは作品タイトルだけ。全般的にネタバレは回避していない。フリーレンと薬屋は2024年扱いとすると,2023年は2022年に比べて原作付もオリジナルも不作だった。 <冬> 『もういっぽん!』 2023年面白かったアニメ1位。というよりも,続き物を除くと,2023年で推せるアニメ(2022年の4位までと遜色がないアニメ)がこれしかない。女子柔道のスポ根。原作者が柔道物の漫画を描こうとするも,柔道物という時点で連載会議の俎上に上がりにくく苦心惨憺,いっそのこと女子柔道にするかと描いたらこれが当たったというような経緯がpixivに投稿されていた。それでも女の子が上手く描けないと悩んでいるようだが,原作の絵柄もアニメの絵柄も十分に可愛いと思う。 スポ根アニメが好きな人

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    tugui0221 2024/04/29
    魔法革命は百合と物語の本筋、映像映えする戦闘という最低ラインを守るために原作から色々と切り捨てているので…/原作だと戦闘パート以外そこまで上滑りじゃなかったというか、いたたまれなさは覚えなかった記憶。
  • nix in desertis:2021受験世界史悪問・難問・奇問集(国立大編)の落ち穂拾い

    先週公開した記事の,追加調査や読者の反応を経た補足。それほど大した内容ではないが,それなりの分量になってしまったので補足しておく。 1.共通テスト第2日程 まんま同じ地図が収録されている日語論文がある(が論文名は忘れた)という読者の指摘があった。それが事実なら,問題文の「『パン=ヨーロッパ論』所収の地図を加工したもの」は大学入試センター自身が加工したようにしか読めないので,問題文が誤読させる文になっていて良くない。また,普通に考えると出典表記が必要である。名古屋大が前に『興亡の世界史』所収の地図を出典不掲載のまま利用したのと同じで,引用の条件を満たしていない。入試問題は著作者に事前に許諾を得ないまま著作物を利用することが可能だが,引用の条件は守る必要がある。私自身がその論文を確認しているわけではないので濡れ衣の可能性があるから,現時点ではあくまで可能性として指摘しておく。 3.東京外国語

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    tugui0221 2021/08/19
    引用(著作権法32条)と試験問題としての複製等(36条)による著作権制限は別なので、必ずしも「引用の条件は守る必要がある」とは限らないのでは(出所表示は微妙だが)、などと些末な部分が今更気になってしまった
  • nix in desertis:約3年ぶりに己の萌えを確認する(3回目)。

    約3年前。ところで,いずれのコンテンツもキャラ総数が200〜250くらいなのだが,その辺が限界なのだろうか。いやまあ,この先いずれのコンテンツもまだ増える余地はあるが。 【東方】 1位:パチュリー・ノーレッジ 2位:レミリア・スカーレット 3位:八意永琳 4位:茨木華扇 5位:八雲紫 6位:摩多羅隠岐奈 7位:稀神サグメ 8位:秦こころ 9位:ドレミー・スイート 10位:古明地さとり 11位:博麗霊夢 12位:純狐 13位:古明地こいし 14位:堀川雷鼓 15位:西行寺幽々子 16位:聖白蓮 17位:フランドール・スカーレット 18位:霧雨魔理沙 19位:稗田阿求 20位:埴安神袿姫 <コメント> 順位はいつもの東方キャラソートより。意外と移動が多くて自分でびっくりした。3年くらい期間が空くとやるかいがあるものだ。紫様の浮上は隠岐奈さんに引きずられて&鈴奈庵の最終話効果が大きい。偶然にも4

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    tugui0221 2020/01/22
    キャラは上下しても、嗜好そのものは全くブレていなくて笑う/奏のコンセプトが「大人ぶりたいJK」と開示されたのが最近のパラダイムシフトだった。
  • nix in desertis:『天気の子』感想・批評

    〈セカイ系としての『天気の子』〉 自分としては作がセカイ系であるかどうかとか,セカイ系の定義にはあまり興味がない。むしろ作の場合,人類が滅びるような障害を乗り越えられる程度の障害に縮小したところを評価したい。人類を滅ぼさんでもセカイ系はできるし,やってよいのだという意味合いでなら作をセカイ系の文脈で語るのは面白いと思う。もう,ヒロインとセカイのどちらかしか選べないという結末しかないのに我慢する必要はないのである。東京は部分的に水没したし,陽菜は晴れ女の能力を失った。それでも都民はたくましく生きている。 そもそも須賀の言う通り,陽菜が帰ってきたから雨が降り続いているなんて因果関係がはっきり証明されているわけではない。2人は降り続く雨を気に病まなくていい。まさに「大丈夫」なのだ。実は選択でさえないかもしれないという読み方を残している。読み方の選択の余地があり,選択を迫られているのはむしろ

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    tugui0221 2019/07/27
    世界は「セカイ」ほど過酷ではないという反論、エロゲでは『パルフェ』がとうの昔に出しており、それでもセカイ系をやるなら『ユースティア』程度の残酷さが必要だ、という感想を自分もチラシの裏に書いた。
  • nix in desertis:世界史用語集から消滅した用語ver.2019

    山川出版社の『世界史用語集』はほぼ毎年出版されているが,大規模な改編があった場合は改版,ミクロな改編しかなかった場合は増刷という使い分けをしている。ただし,正確に言えば改版は刷数をリセットして第1版に戻すということをやっているので,改版ではなく再出版になるのだが,まあそこは置いといて。改版になるのは学習指導要領が変わったタイミングになることが多いが,そうでなくともたまに改版している。ちなみに,第1刷のみタイトルが『世界史用語集』で,第2刷以降は『世界史用語集 改訂版』という書名になるという小ネタがある。書店では最新版以外が売っていることはまずないが,Amazon等で注文する際はタイトルと発行年をちゃんと見ないと無駄に古いものを買うことになるので注意が必要だ。たとえば現行の『世界史用語集』は2014年に刊行,『世界史用語集 改訂版』は2018年12月刊行である。 さて,その2018年12月に

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    tugui0221 2019/05/02
    受験生時代、ゴーギャンが後期印象派と呼ばれていたことに「?」となった記憶があるので、やっと変わったんだなと。
  • nix in desertis:『絶対に解けない受験世界史2(大学入試問題問題シリーズ2)』が出ます

    以下は1巻同様に,書の紹介をFAQ形式で。 よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史2 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ Q.目的や内容は前巻と同じなの? A.全く同じです。大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説したです。気で難しくて解けない問題から,日語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題,珍しい問題など,多岐にわたって収録しています。 1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること 2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること 3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること 4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること を主な目的としています。以下,1巻と同じQ&Aは省略。 Q.収録範囲は? A.前著で2014年の早慶上智・国立大を扱いましたから,それ以外の2014年の私大入試。2015・2016年は全大学,2017年の早慶上智・国公立大までです。

  • nix in desertis:「ロボットは東大に入れるか」成果報告会 in 2016(11/14)レポート

    昨年のものはこちら。また,朝日新聞によるまとめ・結果一覧はこちら。 以下は聴講の記録だが,大部分は昨年と解法などが変わらないため,文章短縮化のため変わらない部分は「昨年と同じ」と同じとして省略するのでご了承願いたい。 昨年はマーク模試・東大模試ともに駿台・ベネッセのものであったが,今年はマーク模試がベネッセ,東大模試が代ゼミのものになった。東大模試は一昨年まで代ゼミのものだったので,出戻りになった形になる。私自身風の噂で聞いただけなので話半分として書くが,駿台とは何やら揉めたらしく,代ゼミに戻ってきたそうだ。まあ,そもそも駿台の東大実戦は配点がおかしいので,河合の東大オープンか代ゼミの東大プレを使うのが無難ではあろう。 [解法についての教科全般の話] ・例によって,OCRで直接文章を読み取って東ロボくんに流し込む,というのは未実装。ほとんどの科目は問題文をXMLに書き下すところまでは人力。

  • nix in desertis:イスラーム型の民主主義は成立しうるか

    ・中東で民主主義が定着しない「当の理由」 〜イスラームをめぐる2つの問題について(賢者の知恵 | 現代ビジネス) 私の中の問題意識にありつつ案外と他の人が指摘している場面を見ないので,この記事で指摘されているのを読んでちょっと驚いてしまった。近代ヨーロッパの発明とは民主主義と自由主義(基的人権の擁護)は両輪であって,片方が欠ければ長期的には腐敗するということではなかったか。啓蒙専制や自由主義的専制は,夢はあれど時代の徒花であろう。 そして,イスラーム教という宗教自体に民主化を阻害する要因があるのではなく,社会の世俗化がなされていないことが大きな要因である,という記事の主張には同意する。基的人権が守られるには明確な政教分離とまではいかなくとも,人権と宗教的価値が衝突した時に人権が優先されるという社会の風潮は最低限必要で,それが達成される程度には世俗化が必要不可欠になろう。イスラーム的

    tugui0221
    tugui0221 2016/08/27
  • nix in desertis:書評:『ルワンダ中央銀行総裁日記』服部正也著,中公新書

    書はインターネットで話題となり,再販された。私もご多分に漏れず,このTogetterがきっかけだ。 ・「まるで異世界召喚」「内政チートや」…名著「ルワンダ中央銀行総裁日記」は「ライトノベル的に面白い」という切り口に反響(Togetter) ここでの紹介はリアル世界で当に起きてしまった内政チート,という雰囲気だ。確かに,第二次世界大戦後の主権国家というものを急に“押し付けられ”,知識も技術も経済力もないが対応していかなくてはいけないアフリカ内陸の小国という究極の状況である。主人公が異世界に飛ばされたのではなく,異世界の側が現代世界に接続してしまったという方が近い。そしてまた,服部正也氏が極めて内政チートの主人公にふさわしい人物であった。内政チート物の(とりわけ異世界物)で指摘される主人公の不自然さをことごとく否定できてしまう。 ・ぽっと出の主人公(現代人)がいきなり内政を自由にできる高官

  • nix in desertis:受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2016 その3(その他)+おまけ「今年の気になった問題集」

    1.センター試験世界史B[試] <種別>審議不能(あるいは出題ミス) <問題>2 問3 下線部③に関連して(ヨーロッパ経済が世界的に拡大していく),次のグラフは1630年から1799年にかけて,オランダ・イギリス・フランスの3カ国において,アジアに航海するために艤装(航海に必要な装備を施すこと)された船舶の数を表したものである。このグラフから読み取れる内容について述べた下の文aとbの正誤の組合せとして正しいものを,下の①〜④のうちから一つ選べ。  12 a オランダの船舶数がピークを迎えたのは,七年戦争終結後である。 b フランスの東インド会社が再建される以前,同国の船舶数は,常にイギリスの半分以下である。 ① a−正 b−正 ② a−正 b−誤 ③ a−誤 b−正 ④ a−誤 b−誤 <解答解説> センター試験がグラフの問題を掲載したのは13年ぶりのことで,知識問題ばっかりで思考力を問

  • nix in desertis:「皇帝教皇主義」という用語について

    皇帝教皇主義とは,西欧側から見えたビザンツ帝国の宗教政策(理念)のことである。西欧では皇帝(帝権)と教皇(教権)が並立し,名目上はそれぞれが世俗・教会を統括する分離した存在であると見なされていたが,実際には800年のカール戴冠や962年のオットー戴冠がローマ教皇主導で行われたこと,コンスタンティヌスの寄進状,聖職叙任権闘争の影響などから,教皇の承認がなければ皇帝が成り立たず,教皇が世俗の統治にしばしば介入する構造に移っていく。これに対し,ビザンツ帝国では皇帝がコンスタンティノープル総主教を完全に支配し,世俗・教会の両権において最高権力者であった,というように当時の西欧人からは見えた。その専制性の高さを,半ば侮蔑を込めて「皇帝教皇主義」と呼んだのがこの用語の意味合いである。 さて,近年この用語は批判が多い。理由としては主に以下の3つが挙げられる。 ・コンスタンティノープル総主教は「教皇(Pa

  • nix in desertis:高校世界史上のフン人やマジャール人の扱いについて

    ・「ハンガリーHungary」と「フン族」の関係(Togetter) ・謎の用語「アジア系」「アフリカ系」(nix in desertis) この辺の話。気になったので,フン人・アヴァール人・マジャール人・ブルガール人について,現行の教科書(全7冊)がどう表記しているのか,調べてみた。教科書の年度は全て最新版のB課程。上から5冊がいわゆる“受験用”,下の2冊が非受験用の教科書である(山川の『新世界史』は分類が難しいが)。なお,参考書のうち『用語集』および『詳説世界史研究』も調べたが,全て『詳説世界史B』と全て同じ表記であったので省略する。 【フン人】 特徴:4〜5世紀頃にヨーロッパに襲来。民族(言語)系統についてはよくわかっておらず,トルコ(テュルク)系あるいはモンゴル系とされている。北匈奴が移動したもの説があるが,確定していない。というよりも匈奴自体がトルコ系説とモンゴル系説がある。一時

  • nix in desertis:中国軍事パレードに関連して

    中国軍事パレードで気になったこと(極東ブログ) → 中国中華人民共和国)は戦勝パレードをする権利がある。それ自体はとがめようがない。しかし,その内実はきっちり「反ファシズム陣営の一員として,大日帝国を倒したこと」の誇示でなくては名実が一致しない。このような大々的で現在の兵力を誇示するような軍事パレードとして挙行し,虐殺を行った独裁者を招待したことについては,批判されて当然であろう。 → 潘基文国連事務総長について。彼はこの軍事パレードの意味合いが,日中戦争の戦勝誇示にはないことを当然知っていたが,にもかかわらずバシール大統領と同席したのである。確かに国連は二次大戦の連合国=反ファシズム陣営を起源するが,反ファシズム陣営として連合したのに身内に全体主義国家を含むというねじれを原初から有していた。このねじれが冷戦と国連の無力化の双方を生んだわけであるが,だからこそ起源を論拠に中国の正当性

  • nix in desertis:「ロボットは東大に入れるか」成果報告会 in 2015(11/14)レポート

    昨年のものはこちら。また,朝日新聞の報道はこちら。 今年から協賛が代ゼミから駿台・ベネッセに代わった。代ゼミがセンター系模試を止めたためである。ベネッセのマーク模試の方が母集団が大きいので偏差値や判定への信頼性は高い。受験したのはマーク模試の全教科(社会は世界史・日史,理科は物理で例年と同じ)。東大二次型の模試(東大実戦)は数学と世界史。今年の目玉は世界史の論述に取り組んで,割りとまともな成績を叩きだしたことにある。これは私自身激しく衝撃を受けたので,後段で詳述する。 [解法についての教科全般の話] 昨年と共通する点詳細は割愛する。 ・例によって,OCRで直接文章を読み取って東ロボくんに流し込む,というのは未実装。今回は問題文をXMLに書き下す(数学ならMathML)ところまでは人力。 ・画像処理も昨年と同じでほぼ未実装に近い状態。アノテーションを付して図表をテキストデータに変換し,自然

    tugui0221
    tugui0221 2015/11/17
  • nix in desertis:『Banished』覚書

    充実したWikiがあるので,ここではゲームの簡単な紹介と,各ポイントにおける私的なコメントを書いておく。 【『Banished』とは?】 "Banished"は「追放者たち」という意味。何らかの事情で追放され,住処を失った人々の指導者となって,森林を開拓し,新たな集落を形成するのが目的のゲーム。入手方法はいくつかあるが,Steamで購入するのが最も手軽であろう。レートにもよるが,2000円前後で購入できる。値段の安さや,ゲーム製作者がたったの二人という点からも想像できる通り,正直に申告してシンプルなゲームであり,簡単にコツがつかめる。しかし,美麗なグラフィックと音楽により中世ヨーロッパの農村の雰囲気を手軽に楽しめるという経営系SLGという点で作は突出しており,年間継続してプレイする人は少なかろうとも,多くの人が1周間ほどは寝を忘れるというゲームになっている。 【Banished惑星の特

  • nix in desertis:そもそも美化ではない,とも

    ・慰安婦問題をめぐる自民党提言 最終案の要旨(産経新聞) → 百歩譲って戦後はそうだとしても,「戦前から一貫して人権を重んじ、平和を尊ぶ国として歩んできた」はあまりにひどすぎないか。 → 前から書いているが,戦前の日を多少なり美化しようとも,それで受けるのは国内の一部だけであり,国際的には全く受け入れられない。こと慰安婦問題については,その美化された内容であっても結局現在の価値観においては人権を軽視したものにしかなりえず,むしろ美化された内容について肯定的に語ることで,“現在の”日社会の人権観を疑われる羽目になるという。 → 左派の人にはむしろ否定されるかもしれないが,自民党がこの方向に極度に劣化したのはやはり民主党政権時代=野党時代で,中道右派の大衆政党から,完全な右派政党なのか大衆政党なのか区別のつかない状態になった。その内部の乖離が激しいまま再度政権を取った結果が現状であり,変に

  • nix in desertis:ボカロ衰退論とか

    → 少なくとも自分の実感とは完璧にあう。ジャンルとしてのボカロと道具としてのボカロは違うし,道具化すればジャンルとしては衰える。ミクさんがなぜヒットしたかと言えばジャンル化したからであって,道具として革新的だったからという要素は小さくはないが決定的ではなかったのだ。「メルト」が出てきたときに,こうなる未来はなんとなく予想できた。『メルト』自体はまだ初音ミクプロデュースではあったが,「ボカロ」ジャンルの特性を扱った作品ではないからである。5年前にこういう記事を書いているのだけれど,割りと先見の明があったような気はする。「ミクをプロデュース」という感じがほぼ完全に消えたの,2013年頃かなぁ。最後の「ミクをプロデュース」での超大ヒット曲というと,下手したら『千桜』までさかのぼるのでは。あれは2011年投稿だ。 → 衰退じゃなくて成熟だ云々,というのはニコマスとかいうすっかり規模の縮小した界隈

  • nix in desertis:新々課程の社会科全般について

    前回の議論の続き。今日の議題は残りの「地理総合」と「公共」だが,先に「地理総合」から取り上げる。地理総合は地理Aを改変して設置する必修科目(予定)だが,この科目が出てきた事情は,現在の地理Aおよび地理Bの置かれたちょっと特殊な状況から振り返らなければならない。 まずデータから見てみよう。平成27年度センター試験(試)の受験者数は地理Bで146,846人,地理Aで1,843人であった。地理Bの受験人数は昨日の記事で紹介した世界史Bの受験人数(84,053人)よりもよほど多い。これでなんだ人気あるじゃないかというのは早計で,実は地理Bの受験者の大半は理系である。どういうことか。地理Bは,同格の世界史や日史に比べると暗記量が圧倒的に少ない。用語数がおおよそ半分しかないというのが界隈の定説である。特にセンター試験はその傾向が強く,用語を暗記していないとどうにも解けないという問題が少ない。だから

  • nix in desertis:ルター・バイアスとかの話

    ・イスラーム教をなぜ理解できないか(1)「こころ教」のガラパゴス(中東・イスラーム学の風姿花伝) → 大筋で納得するし同意する内容。世俗主義が浸透しきった結果,宗教があくまで個人の心の安寧に関するものとなり,他の側面が捨象されてしまった。これはこの間取り上げた「カルトほど宗教を『まなぶ』と呼称する問題」にも近い。宗教は倫理や哲学というだけではない,ということが忘れられているとは私自身思う。無論のことながら,世俗主義は近代が生んだ便利な発明であり,利点の方が多い。しかし,その視点から世俗主義が浸透していない世界を見ると誤解の元になる。 → 宗教が神秘主義的な側面と律法主義的な側面があるというのは一つの分析概念としてありで,かつ神秘主義的な側面の方向に突っ走るとここで触れられている「こころ教」,もっと言えば宗教の融合や統一という発想,宗教という概念自体への問いなどの方向に進んでいく。今の日

  • nix in desertis:新々課程の「歴史総合」について

    2022年からの高校教育課程について,社会科の科目の抜的改革が提唱されている(リンク先は日経新聞)。今回提言されているのは「歴史総合」「公共」「地理総合」の設置である。これらに対する解説と評価は,一応の歴史教育系ブロガー(?)として論じておかねばなるまいと思ったが,書いていたら長くなったので,前後編に分けることにした。先に結論だけ書いておく。 ・「歴史総合」は実態として機能するかが大きく運用と「新テスト」にかかっており,受験科目化するなら評価できる。 ・「地理総合」はおそらく実態としてあまり機能しないが,設置意義は評価できる。 ・「公共」は発案した奴誰だよ。無駄の極みだよ。 この前編では歴史総合について扱う。「歴史総合」は,世界史と日史の近現代史部分のみを扱う科目である。これは現行の制度崩壊に関する議論から生まれた発想だが,その制度崩壊を説明しておきたい。 現行の高校地歴科の必修は,「