本稿はブログ「みちくさのみち」からの転載である。「みちくさのみち」は歴史学を中心に、人文学や教養に関する読み応えのある記事を特徴とするブログ。更新のたびに各種ソーシャルメディアで話題を呼んでいるが、満を持しての本誌掲載となる。本稿で紹介するのは論文執筆法についてのエントリだ。研究者はもちろん、卒論に取り組んでいる学生にもきっと役立つはずである。 院生時代に愛読していた『MASTERキートン』に好きな話がある。研究者と保険屋の間で「優秀な保険の調査員」であることに悩んでいたキートンが大学図書館に行ったときのもので、図書館でバイトしている院生がカウンターに現れた人物をキートンと知るや、その手を握りしめ「あんな素晴らしい論文初めて読みました!僕はあれを読んで研究者になろうと決心したんです!」と語り、言われたキートンがびっくりする、というシーンである。「あんな素晴らしい論文初めて読みました」と、い