総合製紙大手の大王製紙(本社・愛媛県)の井川意高(もとたか)前会長(47)が連結子会社から個人的に総額84億円を借り入れていた問題で、東京地検特捜部は16日、会社側に不当な損害を与えたとして会社法違反(特別背任)の疑いで、井川前会長の立件を視野に捜査に乗り出す方針を固めた。近く子会社関係者らの一斉聴取を始める。創業者一族による巨額借り入れ問題が、刑事事件に進展する可能性が高まった。 井川前会長は弁済する意向を示しているが、特捜部は借入金が巨額である点を重視。すでに井川前会長の銀行口座の出入金記録や、子会社と井川前会長が交わした賃借を証明する書類なども調べており、同社関係者らの事情聴取などを通じて実態解明を目指す方針だ。 大王製紙の発表によると、井川前会長は平成22年度に子会社2社から約23億5千万円、今年4~9月に子会社7社から約60億円を借り入れていた。借入金のうち約29億円は株式や現金