アルツハイマー病を研究する国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」のデータセンターが、臨床研究データの改ざん疑惑の調査中は証拠となる被験者データを触らないよう求めた厚生労働省の要請に反し、少なくとも14人のデータを書き換えたことが朝日新聞の調べで分かった。被験者の要件を満たしていなかったため、研究データとして使うのに必要な例外申請書を事後的に不正に作成していた。このほかにも全データの約2割にあたる613件で一部削除などの更新記録があり、隠蔽(いんぺい)工作が幅広く行われた可能性がある。 改ざん疑惑は1月に朝日新聞報道で発覚。厚労省は代表研究者の岩坪威東大教授にデータ保全を要請して承諾を得た上、東大に調査を依頼した。しかし、調査委員会のメンバーを公表せず、調査も大幅に遅れているため、真相究明に後ろ向きとの批判が出ていた。新たにデータの書き換えが発覚し、東大の調査への信頼が一層揺らぐのは必至