2006年8月29日 田中 宇 記事の無料メール配信 国際政治の概念図の中で、ネパールの「マオイスト」ほど、イメージと実態が食い違っている存在も珍しい。「マオイスト」は、日本語でいうと「毛沢東主義者」である。そして、ネパールは毛沢東を生んだ中国のすぐ南にある。このことから、マオイストはネパールの親中国勢力のことを指すと思われがちだ。たしかに、マオイストは、政党としては「ネパール共産党」を自称している。 しかし、中国はマオイストを支援せず、逆に、マオイストと敵対してきたネパール王室を支援し続けてきた。マオイストは、王制と、封建的な土地制度が残っているネパールで、王制の廃止と農地解放を実現するためにゲリラ活動を行ってきたが、その思想は中国からの直輸入ではなく、ペルーの「輝ける道(センデロ・ルミノソ)」など中南米の左翼ゲリラが掲げてきたアンデスの農地解放の理想をお手本にしている。毛沢東思想は、中