現存する日本最古の和歌集、万葉集の中に、「味酒(うまさけ)を 三輪の祝(はふり)がいはふ杉 手触れし罪か君に逢ひかたき」(三輪の神官が崇める神聖な杉に手で触れた罪だろうか、あの方になかなか会うことができないのは)という丹波大女娘子(たにわのおおめおとめ)の歌があります。 その昔、大和朝廷の神事の神酒を造る役割を担っていたという日本最古の神社、大和国一之宮・大神神社(おおみわじんじゃ)。古くからお酒の神様を祭る神社として知られ、神に供える酒はその名にちなんで「みわ」と言われていました。神社の裏手にそびえる三輪山、その山全体が大神神社のご神体となっています。そして、その三輪山の杉の木を神木とすることから、大物主大神のご神威が宿る杉の葉を束ねて酒屋の軒先に吊した風習が杉玉の起源とされています。当初は「酒箒(さかぼうき)」や「酒旗(さかばた)」と呼ばれていましたが、江戸中期には鼓のように束ねた杉の