母の入っている老人ホームで縁日をやるというので行ってきた。たまにそういったイベント事を催しているらしい。行ってみると施設のロビーに屋台が出て、ハッピ姿の職員さんが焼きそばを作っていたり、ボール掬いや射的に老人たちが興じていた。 アッパー系演歌(「北酒場」とか「祭」とか)もガンガンに流れ賑わっていた。 「あたしは騒がしいの嫌いだよ~」と言いながら、母も歩行器を押しながらロビーに出てきて、職員さんに促されて射的ゲームを始めた。 ポン、ポン、とこれがなかなか上手に景品の人形などを倒していく。その度に職員さんたちが「すごいじゃなーい」「うまいねぇ」と囃し立てる。小さな子供にいうような口ぶりだ。ちょっと90歳の人間に対してその子供扱いはどうなのかなぁ、と息子は思ったのだが、母は自分の腕前に興奮したのか、ポン、ポン、とまた空気銃で景品を倒してみせた後、振り返り突然「うまいだろ賢二、あたしは射撃をやって