昨年、バイエルン・ミュンヘンの練習施設「ゼーベナー・シュトラーセ」を久々に訪ねた。そこは、居心地の良い、まるで選手たちの我が家だった。その翌月、J2ファジアーノ岡山(以下、ファジアーノという)の専用練習場整備を要望する28万人の署名が、「整備を推進する会」代表の岡山大学長から、ホームタウンの岡山市長に提出された。市の人口の約4割にあたる数は、函館、山形、徳島、下関なら市民全員に相当する多さである。 Jクラブの専用練習場の多くは、母体企業をもたない場合、本拠地の自治体によって整備されている。だから、署名は新政令市に意気上がる岡山市に提出された。地元山陽放送のニュースに流されたファジアーノの練習風景では、水を張った子ども用のビニールプールで、選手が行水さながら汗を流している現実が映し出されていた。 一昨年、ファジアーノは中山雅史選手の獲得に乗り出したが、彼はバイエルン・ミュンヘンを模した練