チェコ映画界の新鋭トマーシュ・ヴァインレプ&ペトル・カズダが脚本・監督を手掛けた『私、オルガ・へプナロヴァー』(2016)のポスターのアートワークを見て、「これは見なくてはいけない映画だ」と直感的に思った。それは、オルガ役を演じるポーランド女優ミハリナ・オルシャニスカが正面を見据える顔の半分を切り取ったもので、その眼差しの鋭さに胸騒ぎを覚えた。 彼女を評して、「ハリウッド・レポーター」誌は『タクシー・ドライバー』(1976)のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)を引き合いに出し、「ヴィレッジ・ボイス」紙は「狂ったナタリー・ポートマン」と形容した。確かに、ポスターのオルガは『レオン』(1994)のマチルダを思わせる。その彼女が、トラヴィスのような狂った行動を起こすとは一体どんな映画なのか!? 本作は、少女の頃から精神的に不安定で施設に預けられ、そこでも集団リンチやいじめに遭い、次第に破滅へとひ