「白人>黒人」という単純な二項対立ではない複雑な人種差別が絡んでいる物語で、日本人の感覚からはちょっと掴みにくいところもあったけど、ひたすら丁寧な文章にグイグイと引きこまれた。 ミステリーというカテゴリには属しているものの、そこでおこる"事件”が主題ではなく、ねじれてしまった2人の男の道がゆっくりと解かれていくさまを描いたドラマが主題の物語。 ゾッとするほどの孤独は読んでいて苦しいが、最後には「救い」「赦し」があるのが良かった。 決して両手を上げてのハッピーエンドではないが、この読後感は心地よい。