岩田規久男先生の『経済学的思考のすすめ』は素晴らしい本である。特に財政再建問題の中核がなんであるかを詳細に議論している。と同時に「素人経済学」の代表である辛坊兄弟の著作を徹底的に批判していることも特徴のひとつだ。 さて本書にはデフレ脱却問題を中心に、さまざまな経済問題について、素人経済学の直観的考察を次々に論駁している。中でもためになるのが、財政再建に関しての記述だ。多くの素人経済学は、財政再建を人質にとり、危機感をあおっている。しかしその多くがインチキくさいものである。ここでは財政再建問題についてのいくつかのトピックスのうち、「国債は将来世代の負担になるのか」というテーマをみていく。 財務省も多くの素人経済学も「国債は将来世代の負担になり、政府サービスの受益と負担に関する世代間不公平の原因になる」と喧伝している。テレビや新聞などでもよく目にするタイプだ。中には国の会計を家の家計と同一視す
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