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ブックマーク / font-da.hatenablog.jp (29)

  • 見田宗介「まなざしの地獄」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    まなざしの地獄 作者: 見田宗介出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/11/07メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 45回この商品を含むブログ (48件) を見る 河出書房新社から出たが、平積みにされているのを久しぶりに見た気がする。「解説 大澤真幸」*1の効果だろうか。 かねてから、大澤さんが少年犯罪を分析する際に参照しているので、見田さんのこの文章の概要は知っていた。しかし、改めて読み、初出が1973年でありながら、多くの発見があることに驚いた。 「まなざしの地獄」では、1968年から1969年にかけて無差別殺人を犯した19歳の青年N・Nが主な分析対象とされている。N・Nは高度成長期に、地方から東京へと上京した典型的な若者であったはずだ。N・Nらの若者は、「素朴でよく働く田舎の青年」として社会的期待かけられ、集団就職の口が用意される。彼らもまた、

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  • クィア学会に行ってきました。 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    11月9日に開催されたクィア学会の分科会に行ってきた。*1クィア学会ということで、論題も多種多様。法や歴史、哲学的な考察もあれば、実証研究や運動論もあった。その中で、私が度肝を抜かれたのがローラン・エリック「日における性人類学のフィールドワークでの”性的参与” ―男性同性愛学的な研究の例」である。 エリックさんは、日の男性同性愛者を対象に、インタビュー調査を行っている。その際、インフォーマント(調査対象者)を、来は性的な相手を募集する場で探したという。エリックさんは、その行為を、場のルールを無視した、領域侵害だと考えている。その前提の下で、インフォーマントから、性的行為*2の誘いを受けたとき、調査者はどう対応すべきかについての方法論を考察している。また、フランスで同様の調査を行ったときには、インフォーマントから性的行為の誘いを受けることはほとんどなかったという。さらに、日で別の目的

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  • 坂本順治「闇の子供たち」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    各所で話題になっている、タイの児童買春・虐待について描いた「闇の子供たち」を観てきた。描かれている状況は、悲惨としか言いようがない。子どもたちは、檻の中に入れられ、呼び出されては強制売春をさせられる。白人や日人に売られる子供たちは、死ぬまで働かされ、死ねばゴミ袋に入れて捨てられる。また、臓器移植を望む日人のために、生きたまま臓器(心臓)を取られて死んでいく。 映画では、二つの陣営の視点から描かれる。一つ目は、タイの児童福祉のNGO団体である。こちらは、日からボランティアにきた音羽(宮崎あおい)を中心にして描かれる。二つ目は、タイの臓器売買を追う新聞記者らである。こちらは、ベテランの現地記者である南部(江口洋介)を中心にして描かれる。 ほかにも児童を管理するタイ人の男が、実は同じように児童性虐待にあっていたことが描かれたり、タイのNGOスタッフが仲間を裏切っていたり、何十人もの登場人物

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  • 臨床家というポジション - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    以前の記事で、「ビッグイシュー日版」での、上山和樹と斉藤環の往復書簡の形をとる「ひきこもり社会論」を取り上げた。それに対して、上山さんからレスポンスの記事もいただいている。上山さんの論に対して、私が何を言うのか、ということへの結論は出ていない。ただ、議論の行方は追っている。 そして、最新号の100号で、斉藤さんの「観客席に『臨床』はない」が掲載された。これで、上山さんと斉藤さんの断絶は決定的になったかもしれない。それでも、上山さんは全力を尽くして応えるとの記事をあげておられるので、私はまさに観客席から見守りたいと思っている。 さて、斉藤さんの記事について、少し触れておく。斉藤さんは、上山さんに「観客席にいる」と批判されたことに対して、反論している。 いちばん引っかかるのは、繰り返し私を「観客席にいる」と決めつけていることです。あえてベタな話をしますよ。私には臨床の現場がある。週4日の外来

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    umeten
    umeten 2008/08/06
    >24時間365日被害者をやっている人間と、仕事の間だけ被害について考え(さらに職業支援者の場合はお金までもらう)ればよい支援者の立場は、まったく違う。
  • 細谷実「美醜としての身体――美醜評価のまなざしの中で生きる」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    これは、金井淑子編「身体とアイデンティティ・トラブル―ジェンダー/セックスの二元論を超えて」に収録された短い文章である。 身体とアイデンティティ・トラブル 作者: 金井淑子出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2008/05/30メディア: 単行購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (10件) を見る 細谷さんは、美醜という基準は、常に「美/醜」を序列化する作用が伴うことを指摘する。「Aは美しい」と言明することは、常に同時に、「Aでないものは醜い」とする作用を伴うのだ。そして、醜い人は、美しい人より下位に位置づけられる。この序列化により、醜いとされた人は、他者に攻撃されるだけでなく、自分自身を卑下し、嫌悪して苦しむことがある。これが、美醜によるハラスメントである。 さて、細谷さんは、このハラスメントの被害にどう対処するのかを考察する。細谷さんは藤野美奈子「不美人論」とデイ

    細谷実「美醜としての身体――美醜評価のまなざしの中で生きる」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    umeten
    umeten 2008/06/24
    「我慢しなさい、自分の心を変えなさい」。まさにアドラー心理学的な笑顔の悪魔。
  • 非モテは語ることができるか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    秋葉原の事件後、犯行直前に犯人が書き込んだと思われる、文章が一部でアップロードされている。そこで語られたのは、「モテ」についてだった。 多くの人が、この事件を心理学や社会学によって分析することに、違和を表明している。説明が過剰だという人もいる。だが、そのような分析が溢れるのは理解できなくもない。 アップロードされている書き込みが、実際に犯人によってなされたとするならば、彼が犯行直前にこだわっていたのは「モテ」だったというこになる。「モテないから、無差別に人を殺す」そんなことがありえるのだろうか?親との不和や、精神の未成熟や、派遣労働の厳しさが理由であったほうが、よっぽど納得しやすい。実際には、私には納得できないが。 私がこのアップロードされている書き込みをみて、瞬間的に思い出したのは、杉田俊介「無能力批評」である。 無能力批評―労働と生存のエチカ 作者: 杉田俊介出版社/メーカー: 大月書

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    umeten
    umeten 2008/06/14
    南青山や表参道、渋谷という「政治的対象」を選んでいたとすれば、それこそ今度は「モテない人間のひがみ」という矮小な政治的レベルに回収されて終わっていただろう。
  • スイーツフォビア - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    「スイーツ(笑)」という表記が流行っているのは知っていたけれど、長らくその意味はわからなかった。「笑」「笑」と書くと楽しげな感じがするので、「みなさん、盛り上がっているなあ」と他人事であった。チトの「みどりのゆび」効果*1で、「辛い現実も笑い飛ばそう!」というポジティブな表現かな、とか勝手に妄想していた。 しかし、実際には、「スイーツ」という単語を使う女子を、蔑み嘲笑するという、殺伐とした表現だった。あんまり良い笑顔ではないみたいだ。女子は、主体的に考えることがなく、リテラシーがないという。なんかもう、150年前にJ.S.ミルが批判したようなミソジニーとあんまり変わらん。 ところが、id:kanjinaiさん経由で、「スイーツ男」を批判する記事を読んだ。 男のクセに甘いものが好きだなんて、普通に考えたらヒジョ〜に恥かしいことなんだから、どんなに甘いものが好きでも、男だったら、人前では「男が

    スイーツフォビア - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    umeten
    umeten 2008/06/03
    「トランスフォビア」という、性的役割分業を重んじる保守的価値観を表す言葉。
  • 市場原理はいいことづくめ? - キリンが逆立ちしたピアス

    今朝の日経新聞に「待機児童対策、市場原理で」という記事が出ていた。書いているのは、鈴木亘。鈴木さんは、次のように現状を捉えている。 少子化による税収減少を補うため、女性の労働参加を高める必要がある。そのため、保育所の待機児童の解消の政策が求められている。政府が立ち上げた「新待機児童ゼロ作戦」は金銭面から頓挫している。鈴木さんは、その予算を削減する提案をしている。 ↑この時点でいくつか突っ込みたくなるワードが頻出しているが、すごいのは次の分析である。 現在の認可保育所、特に公立保育所は、延長保育・休日保育実施率の低さやゼロ歳児定員の少なさからわかるように、利用者への質向上を図る動機がほとんど存在しない。 これは行政の割り当てにより、努力しなくても利用者が集まり、しかも費用が自動的に行政から支払われるという無競争状態にあることが原因だ。 これは、わざと嫌がらせで書いているのだろうか?それとも鈴

    市場原理はいいことづくめ? - キリンが逆立ちしたピアス
  • 橋下知事は被害者を見捨てるつもりなのか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)の、運営団体「大阪男女共同参画推進財団」を廃止する案が提出された。財政上の理由で、人件費や運営のあり方が問題視されている。要するに、赤字なのだ。 しかし、当たり前である。現在の日の社会では、民営でドーンセンターのような役割を果たす機関を維持することは不可能である。私は、性暴力、犯罪、DVなどで被害を受けた人の支援に関わる際、何度かドーンセンターを利用している。東京の支援関係者には、よく、「大阪はドーンがあるから羨ましい」といわれた。 ドーンセンターの3階は「サポート・カウンセリングルーム」になっている。心理相談、からだの相談、法律相談、不妊にまつわる相談を、面接と電話で受けている。すべて無料である。*1 多くの被害者は、金銭的に苦しい状況にある。民間のカウンセリングルームでは、一回の面接(50分程度)に五千円〜一万円くらいかかる。週に一回、安い

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    umeten
    umeten 2008/04/09
    橋下は弁護士なのではなく、商工ローンという高利貸しの「グレー社会の守護神」だったので、弱者を切り捨てる方が彼にとっては自然なのです。結論、大阪人の自業自得。自己責任です。あははははははははははははは