以前、友人からDVDをいただいて、そのまま放置していた『パプリカ』を観た。 一度目は酒を飲みながらだったので、二度観た。三度観る価値のある作品だとは思う。 しかし、アニメーションとして素晴らしい作品だとは言えるが、映画としてすばらしい作品だとは決して言うことができない。 本作品のビジュアル面の魅力としてもっとも魅力的なのが、パレードのクィア性にあることは論を待たない。 夢、悪夢、それが本作品の主要モチーフであり、テーマでもある。 しかしながら、それは科学によって克服されるべき敵として描かれる。 ターザンや保安官に憧れるマッチョマンの中年刑事が、ラスト近くで実感をこめて吐く「気持ち悪」という台詞は、かつて気持ち悪いモノとして扱われたことのある人間の古傷を抉る。 本作品でおきる事件の根本原因をつくったマッドサイエンティストは規格外のデブである(外見からすると体重は200キロ以上あるだろう)。