フランスは胡散臭い日本人の宝庫である。 こんなにも胡散臭い日本人が流れ着く国もなかろう。 拙者、胡散臭さがムンムン漂い候和服のちょび髭親父に遭遇仕りて、「この親爺胡散臭く候」と思ひ候らひし故、即座にパリを中心と致し候フランスにおいて見かける斯くの如き胡散臭い日本人をば、類型化申し候ひて書き留めることを思い付き候。 ホテルリッツを和服で歩いている 「世界最高のホテルたるホテルリッツに来ている我こそは日本人」と言いたくて言いたくて仕方がない阿呆。洋服は全ての日本人にとって自分たちの物ではない借り物であるから平等に日本人をある程度覆い隠すが、和服というものは不思議なもので、着ることによりその日本人の風格、人品というものを露わにする。フランスで自然に和服を着るのではなく、わざわざ日本人であることをアピールするためにここぞとばかりに和服を着る人間は、胡散臭いったらありゃしない。あの回廊のど真ん中で、