はじめに 聖書は、「人は地上で造られ、永遠に地を治める」という歴史を語ります。また、神が造られた肉体と世界を基本的に良いものと見ています(簡単な要約は「福音の深さ、広さを(3)」、より詳しくは、拙論『包括的福音理解を求めて』以下『包括的』参照)。 では、「人は天から来て、天に帰る。肉体と世は卑しむべきもの」という教えはどこから来たのでしょう? このルーツを探る旅は、紀元前5世紀のギリシアから始まります。 (引用元や正確な引用文は、『包括的』を参照してください。) 1. ソクラテスとプラトン 紀元前5世紀末に生きたギリシアの哲学者ソクラテス、そして、その弟子のプラトンは、次のように考えていました。 ソクラテス プラトン 人は理性的な魂であり、天上で神によって造られた。ところがその魂は、地に落とされ、現在は、汚れた肉体の中に囚われ、下等な物質世界に置かれている。そこで、死後、肉体と世を逃れて天