湾岸危機をご存じだろうか。90年8月、イラクが隣国クウェートへ侵攻し、翌年1月からの湾岸戦争で米軍などに追い出されるまで居座った事件である。少々とっぴな類推のようだが、20年も前の湾岸危機と尖閣問題には類似点が少なくないと思っている。 「米軍は助けてくれるかな」。湾岸危機を取材した私はよくクウェート難民に質問された。米軍は中東への兵員配備を進めていたが、実際に祖国奪還のために戦ってくれるか心配で仕方がないのだ。 尖閣問題とは状況が違うとはいえ、同種の不安が今、日本人の胸にわだかまっているかもしれない。中国の露骨な威嚇は続き、日中の武力衝突も懸念される。そのとき米軍は助けてくれるのか、と。 ◇加勢を左右する日本の“本気度” 私の考えは単純だ。日本人が領土を必死に守らないなら米国が加勢する理由もない。だが、日本が本気なら米国は当然加勢する。あくまで限定的戦闘での話だが、同盟国を見捨てた米大統領