「詞」と「辭」/「獨立語」と「半獨立語」 三上文法は、日本語の單語を分類するのに、活用の有無を上位の基準とせず、獨立語か半獨立語かを基準とする、一風變つた文法である。三上氏の發言に關らず、三上文法が時枝文法の「詞」と「辭」との辨別を念頭に置いて、その問題點を乘越える事を目標にして成立してゐる事は、否定出來ない。 三上章氏は『現代語法序説』(刀江書院)で以下のやうに述べてゐる。例によつて表記は正字正かなに改めた。 西洋文法ではセンテンスを構成する要素を二大別して、、觀念内容を持つ意義素S(Semanteme)と、觀念と觀念との關係を表す形態素M(morpheme)としてゐる。初から品詞分けのために立てた區別なのかどうか知らないが、品詞分けにも關係してくる區別である。屈折語ではSだけが單語をなすことは少く、次のやうな二種類の形式になる。 S+M 名詞、形容詞、動詞など M 前置詞、接續詞、冠詞