トイレでの犯罪の実態「トイレは犯罪の温床」と言われる。 筆者が世界100カ国のトイレを調査した結果では、日本のトイレは、構造上、犯罪が起きる確率が最も高いと言わざるを得ない。 しかし、「いやいや、そんなことはない。安全神話は崩壊したかもしれないが、トイレはまだまだ安全だ」と、そんな声も聞こえてきそうだ。実際の統計はどうなっているのか。 最も信頼できる統計は、法務省の「犯罪被害実態(暗数)調査」である。これは、2019年に16歳以上の男女を対象に実施した被害体験の調査だ。調査は各種犯罪を対象にしているが、トイレで起きる犯罪の典型は性犯罪なので、ここでは性犯罪を取り上げる。ただし、トイレに限定した数字はなく、性犯罪一般の数字である。 調査結果によると、5年以内に性犯罪に巻き込まれたことがある人は全体の1%だった。低い数字のように見えるが、実数にすれば(生産年齢人口で計算)、約70万人が性被害に