はじめに*1 原理的には、あらゆる前提条件は特定の個人や状況および主義に結びつけられたステートメントとして相対化することが可能だが、人間の限られた脳ミソを節約するため、この「相対化」は通常特定の範囲内でしか行わない。しかし、前提条件の相対化を厳密かつ広範囲に行い、あらゆる前提条件を無効化していけば「異常者」が生まれる。 「異常者」とは前提条件を共有することができない人間のことを指す。そして「健常者」とは前提条件が共有された人間のことを指す。むろん「前提条件」は集団ごとによって異なるため、ある集団においては異常者の人間が別の集団では健常者となる、といった事態は起こりうる。「異常者」も「健常者」も、本質的に相対的な概念に過ぎない。 異常者による行動は健常者には予測不可能なものであり、認知的不協和を引き起こし、健常者のごく限られた脳ミソを食い尽くしてしまう。そのため、健常者は異常者を排除し、自分