20年以上の歳月を経て再訪したノサップ 「♪納沙布は人情岬」と歌ったのは、とんねるずである。いまをさかのぼること22年前、1986年の秋のことだ。僕は高校3年だった。 その頃、日本にいちばん距離的に近い、けれど心情的にはきわめて遠い国……それがソ連だったように思う。ソビエト社会主義共和国連邦。最近の若い世代にとって、ソ連という国家は現実のものではなく、最初から歴史だろう。ソ連崩壊は1991年、僕が大学5年のときだから、僕らの世代にとっては、ソ連というのはもちろんかつて"現実"だった。 「人情岬」が歌われた当時のソ連のトップは、すでにゴルバチョフになっていた。いうまでもなくソ連最後のリーダーである。僕が生まれて初めて北海道に行ったのも、まあだいたいそんな頃だ。初の北海道で、札幌にも函館にも行ったし、洞爺湖にも摩周湖にも富良野にも行った。けれどそもそもの最終的な目的地は、北の宗谷岬と、東の納沙