桃を食べた。 最高にうまかった。 桃を食べられるなら、もうそれでいいんじゃないか。 今日買った桃はとても立派な桃だったけど、売り物にするには熟れすぎてしまって、4つで500円だった。 いま、この国では1時間働けば1000円もらえる。8つ買える。 その桃を一つ、台所でシンクの上でぼたぼたと果汁をたらしながら、皮をむいては口いっぱいにかじると、口中が果汁で満たされる。それを繰り返す、それができた今日に、これ以上何を望むことができようか。 こんな幸せを1日にいくつも買える、けど、桃が1つあれば満たされないからもういらないくらいだ。何なら、明日もこの桃が食べられるんだって、未来の希望まであるよ。 上を見ればキリがない。 確かに僕は桃をむくのがとてもうまいとはいえない。本当は、2本の指でつまんで引っ張って、それでむけるならもっといいだろう。 そのときに、皮が大きくまとめてとれるなら、そのことだけでも
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