口角が上がり、笑っているように見えることから「世界一幸福な動物」と呼ばれる小型カンガルー「クオッカ」。生息地のオーストラリアから門外不出だったが、昨年、埼玉県東松山市のこども動物自然公園へやって来た。現在、オーストラリア以外でクオッカに会えるのは世界でここだけ。そんな希少な動物が、なぜ埼玉にいるのか。(共同通信=大森瑚子) ▽心をわしづかみに 「海岸でたたずむ、ずんぐりむっくりした姿が忘れられなくて」。そう話すのは同園の園長、田中理恵子(たなか・りえこ)さん(57)。クオッカを呼び込んだ立役者だ。快挙の裏側は、田中さんの行動力と動物愛であふれていた。 2002年、野生のクオッカに会いにオーストラリアのロットネスト島を訪れ、ユニークな姿に心をわしづかみにされた。園ではコアラをはじめ同国の有袋類を数多く飼育し、先住民アボリジニの文化も紹介しており、「クオッカもなじむはず」と確信した。 飼育員