タグ

ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (36)

  • 格差に「一般法則」はない : 池田信夫 blog

    2015年01月28日01:07 カテゴリ経済 格差に「一般法則」はない ピケティについて同じ話を何回もしているうちにわかってきたが、ほとんどのジャーナリスト(つまり平均的ビジネスマン)はあのの内容を理解していない。経済学者は「理論的根拠がない」と批判しているが、ジャーナリストの関心は不平等という結果と累進課税の提案だけなので、話題がそこに集中する。これはピケティの議論が混乱していることにも原因があるが、何度も同じことをいうのは飽きたので、少なくとも次の3点を理解してほしい。「資主義の根的矛盾」r>gだけで格差は説明できない:この不等式はrをROEと考えると自明だが、金利と考えるとおかしい。ピケティはこれをすべての(人的資以外の)資産の平均収益率と考えているが、これでは格差を説明できない。図10.9のように不等式が成り立っていた第2次大戦後に、格差は大きく縮小したからだ。 所得分配

    格差に「一般法則」はない : 池田信夫 blog
  • カルトを合理的に理解する : 池田信夫 blog

    2015年01月24日15:24 カテゴリ科学/文化 カルトを合理的に理解する イスラーム国のような狂気のカルトを合理的に理解することは常識的には不可能だが、まったくナンセンスな組織があれだけの規模になるはずがない。そこには彼らなりの合理性があるはずだ(この合理性は「論理的に矛盾していない」という意味で、望ましいという意味はない)。 書は、ローマ帝国に弾圧されたカルトだったキリスト教が、逆に国教になるまでに成長した原因を、合理的に理解しようと試みる。もちろん史料が限られているので、多くは推測の域を出ないが、マクニールも指摘しているのは、疫病の影響である。彼はこの時期に人口の1/4から1/3が疫病で死んだと推定している。 疫病は、死の危険という点では戦争と同じだが、その原因をコントロールできない。予防も治療も(当時の医療技術では)不可能なので、残された救済の方法は来世で幸福になれると信じる

    カルトを合理的に理解する : 池田信夫 blog
  • 「人質問題」とコミットメント : 池田信夫 blog

    2015年01月21日15:26 カテゴリ法/政治 「人質問題」とコミットメント 「イスラーム国」の人質事件では、身代金の要求に対して「テロリストに屈服するな」という意見が圧倒的だが、これはそれほど自明の問題ではない(ややテクニカル)。 池内恵氏によれば、イスラーム国が誘拐で稼いでいる資金は、年間2000万ドル以上だという。これは身代金を払う家族や企業が多いことを示す。アフリカや中南米でも誘拐は大きなビジネスになっており、身代金を払うことは事後的には合理的(パレート最適)なのだ。これを簡単な展開形ゲームで考えてみよう(数字は犯人と被害者の利益)。 図のように「人質を解放せよ」というメッセージに犯人が応じれば何の問題もないが、身代金を要求してきた場合、それを払うと犯人はAの利益を得る(被害者は-Aの損害をこうむる)とする。要求を拒否すると人質は殺され、被害者は-Bの損害をこうむるが、犯人のコ

    「人質問題」とコミットメント : 池田信夫 blog
  • イスラーム国の衝撃 : 池田信夫 blog

    2015年01月20日21:35 カテゴリ イスラーム国の衝撃 普段は献をいただいたからといって書評することはないのだが、書がオフィスに届いた日に人質事件のニュースが出たので読んでみた。 「イスラーム国」は国と名乗っているが、実態はアル=カーイダの新バージョンである。宗教的にはスンナ派で、指導者バグダーディはイスラームの最高指導者「カリフ」を名乗るが、別に世界のイスラム教徒がカリフと認めたわけではない。政治的には従来のテロリストと変わらないが、イラクとシリアの一部を領域支配して注目された。 イラク戦争でいったん沈静化したようにみえた中東のテロリストがまた勢いを取り戻したのは、「アラブの春」で独裁政権が次々に倒れたためらしい。それまで政権に抑え込まれていた各国のイスラーム勢力が武装し、国境を超えて集まったのだ。中東を支配するようになったアメリカへの反感も強い。 この背景には、英仏の植民

    イスラーム国の衝撃 : 池田信夫 blog
  • コモディタイズした兵器で戦争が民営化される : 池田信夫 blog

    2015年01月17日10:16 カテゴリ コモディタイズした兵器で戦争が民営化される きのうの記事におもしろいコメントがあった。 シャルリー・エブドが典型だが、兵器の小型強力化が戦争(暴力の行使)をコモディティ 化したことで、国家が暴力を独占という虚構は先進国でも崩れた。この混沌はいつまで続く? RT グローバル資主義と「主権者」の不在 : 池田信夫 blog http://t.co/5Q3Nmn2XLi— T.U.Yang (@tadatsome3) 2015, 1月 16 これは重要な論点である。核兵器は超大国が独占したが、普通の兵器はコモディタイズしたので、21世紀の戦争は国家と国家の正規軍の戦いではなく、テロリストと国家のゲリラ戦になるだろう。しかもアルカイダのように資金力があると重火器も入手できるので、20世紀後半以降の長い平和の時期は終わるかも知れない。 こういう非対称戦

    コモディタイズした兵器で戦争が民営化される : 池田信夫 blog
  • G型大学とL型大学 : 池田信夫 blog

    2014年10月25日11:16 カテゴリ科学/文化 G型大学とL型大学 冨山和彦氏のプレゼンテーション「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」が話題になっている。 これは9月に「まち・ひと・しごと創生会議」で安倍首相に説明したものらしいが、今後の大学教育のあり方に重要な問題を提起している。ニューズウィークでも書いたように、日の製造業や情報産業などのG型産業はグローバル化して国内の雇用は減るので、雇用を支えるのはローカルな流通・外・介護などのL型産業だ。おそらく9割が後者になるだろう。 G型企業で必要とされるのは、ソフトウェアを中心とする理系の技術だが、L型企業に必要とされるのは、情報通信機器を活用して労働集約的な仕事を効率化するITリテラシーなどの実用的知識である。 アカデミックなG型大学も必要だが、それは今の1割もあれば十分だろう。はっきり

    G型大学とL型大学 : 池田信夫 blog
  • 池田信夫 blog : 朝日新聞は北朝鮮の宣伝工作の尖兵だった

    2014年09月10日10:59 カテゴリメディア 朝日新聞は北朝鮮の宣伝工作の尖兵だった きのうの言論アリーナの話は非常に複雑だったので、時系列的に整理しておく。1983年11月:清田記者が「ひと」欄で吉田を取り上げる(慰安婦の話はない) 1990年9月:金丸信が金日成に80億ドル(1兆円)の賠償を約束 1991年8月:植村記者が「思い出すと今も涙」という記事で「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦」の記事を出す 1992年1月:宮沢訪韓の直前に「慰安所への軍関与示す資料」という1面トップ記事を出し、「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」と解説する 1992年:東京社会部の記者(53)が「デスクの指示で吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれた」 1993年8月:河野談話を各社は「強制連行認める」と報

    池田信夫 blog : 朝日新聞は北朝鮮の宣伝工作の尖兵だった
  • 清水幾太郎の覇権と忘却 : 池田信夫 blog

    2014年07月20日13:18 カテゴリ 清水幾太郎の覇権と忘却 集団的自衛権をめぐる騒動は、60年安保に似ている。当時も安保条約なんてほとんどの人は知らず、新聞が「アメリカ戦争に巻き込まれる」という不安をあおって騒ぎを作り出したのだ。最初は一部の学生・知識人にとどまっていた運動が、1960年6月の国会通過の数ヶ月前から、急に盛り上がった。そのきっかけが、全学連主流派(ブント)の国会突入だった。 清水幾太郎は、60年安保の主人公だった。今では忘れられた人物だが、当時は「いまこそ国会へ」というアジテーションを発表し、全学連を支援する声明を出した(丸山眞男は署名しなかった)。このときの騒動をのちに振り返って、清水は「何をやりたかったのか自分でもわからない」といっている。 書は「二流の知識人」だった清水の生涯をあとづけ、「一流」だった丸山と対比して「進歩的知識人」の心理を意地悪く描いてい

    清水幾太郎の覇権と忘却 : 池田信夫 blog
  • 学問的真理と党派の論理 : 池田信夫 blog

    2014年07月07日13:47 カテゴリ 学問的真理と党派の論理 朝日新聞のような「戦後民主主義」の元祖が丸山眞男だが、彼の学問的著作には「平和憲法を守れ」とか「非武装中立」のような言葉はまったく出てこない。もちろん彼が全面講和や安保反対の運動に協力したことは事実だが、それは彼も弁明するように、運動体の側の都合でリーダーにまつり上げられたのであり、彼自身は直接行動にはほとんど参加していない。 むしろ丸山に若いころから一貫していたのは、左翼への警戒感だった。その原因は、戦前に彼を攻撃した右翼と戦後の左翼に共通の「気味悪さ」を見たためだ。この晩年のノートの半分近くを占める全共闘運動へのコメントにも、そういうトーンが一貫している。いま思えば彼らの「戦後民主主義批判」なるものは無内容な極左冒険主義だったが、丸山はそれを真剣に受け止め、彼らにみられる「党派の論理」を批判した。ある特殊のグループへ

    学問的真理と党派の論理 : 池田信夫 blog
  • 政治的ロマン主義 : 池田信夫 blog

    2014年06月30日01:14 カテゴリ 政治的ロマン主義 集団的自衛権に反対した(と伝えられる)自殺未遂が話題になっているが、こういう頭のおかしい人は一定の確率で存在する。シュミットが書で批判したように、フランス革命もそういう政治と心情を混同する政治的ロマン主義のもたらした悲劇だった。今週のメルマガの付録として、ちょっとメモしておく。 シュミットが政治的ロマン主義の代表としてあげるのは、ルソーである。一般には彼は「民主主義」の教祖として知られるが、「一般意志」は民主的な手続きで選ばれるものではなく、絶対君主と考えたほうがわかりやすい。 そういう絶対的な主権を根拠に絶対君主を倒す革命というのが矛盾しているのだが、この手のロマン主義に共通なのは「**を取り戻す」という復古主義である。「人間は生まれながらに自由で平等だが、至る所で鎖につながれている」というルソーの自然状態は、歴史的に何の

    政治的ロマン主義 : 池田信夫 blog
  • 護憲派が国を滅ぼす : 池田信夫 blog

    2014年06月07日18:50 カテゴリ法/政治 護憲派が国を滅ぼす アゴラの書評に細かいことを補足しておこう。明治憲法に統帥権の独立という欠陥があったことは今日ではよく知られているが、当時それを認識していたのは天皇を初めとするごく一部のエリートだけだった。それは意図せざる「バグ」だったのか、それとも意図的な「仕様」だったのだろうか。 それは明治憲法を書いた伊藤博文や井上毅の設計した仕様だった、と坂野潤治氏は書いている。井上は各国の立憲君主制を調査した結果、イギリスのそれは「国王は徒に虚器を擁するのみ」で君主に実権がないと考え、プロイセン型の制度を明治憲法に実装した。 両者は立憲君主制といってもまったく違う制度で、議院内閣制のイギリス型は共和制に近いが、皇帝が大臣や将軍を自由に任免できるプロイセン型は絶対王制に近い。片山杜秀氏の指摘するように、明治憲法はプロイセンよりさらに念の入ったタコ

    護憲派が国を滅ぼす : 池田信夫 blog
  • 「ハードランディング」はいつ起こるか : 池田信夫 blog

    2014年04月11日14:09 カテゴリ経済 「ハードランディング」はいつ起こるか 今週の言論アリーナで鈴木亘氏や石川和男氏とも議論したように、日の社会保障は破綻しているが、厚生労働省も政治家も手をつけない。投票者のメディアンが60歳を超えているので、高齢者の利益に合致する政策を主張することが合理的だからである。この問題は通常の民主的手続きでは解決できないので、国民の目を覚ます「ショック療法」が必要だ。 高齢者は、当に逃げ切れるのだろうか。「双子の赤字」になると、財政のバッファになっていた経常黒字がなくなるので、政府債務が金融資産を超えると外債の募集が必要になる。海外投資家は今のような超低金利では買ってくれないので、外債の金利は世界の水準に近づく。深尾光洋氏のシミュレーションによれば、日銀は2014年末までに長期国債保有額を190兆円にまで引き上げ、平均残存期間も今回の緩和開始時の

    「ハードランディング」はいつ起こるか : 池田信夫 blog
  • NHKは「右傾化」しているのか : 池田信夫 blog

    2014年02月15日12:12 カテゴリメディア NHKは「右傾化」しているのか NYタイムズが「安倍政権がNHK政治的圧力をかけて政権寄りにしようとしている」と報じている。中身はワンパターンの「日の右傾化」キャンペーンだが、最近の一連の出来事をアメリカがどう見ているかを知るには興味深い。ケネディ大使がNHKの取材を拒否しているのも、これと関係があるかもしれない。 きのうの言論アリーナでも片山さつき氏や長田達治氏と話したが、こういう日に対する誤解をただすのは非常にむずかしい。いろいろな問題が複合しているからだ。慰安婦問題は単なるでっち上げだが、籾井会長は戦時売春と強制連行の区別さえつかないでコメントし、朝日新聞につけ込まれた。 もう一つは靖国参拝などの歴史観である。これは趣味の問題で、百田尚樹氏のような「皇国史観」は個人として発言するのは自由だし、どうせ多数派にはならない。彼は安倍

    NHKは「右傾化」しているのか : 池田信夫 blog
  • 「15年戦争」を生んだ現場主義 : 池田信夫 blog

    2014年02月13日12:03 カテゴリ 「15年戦争」を生んだ現場主義 アゴラこども版で解説したように、「南京大虐殺はあったか」という論争には意味がない。南京陥落の際に民間人の殺傷事件があったことは事実で、それが他国の領土だったことも明らかなのだから、これが侵略であることは争えない。中国のいう「30万人」が大げさだとしても、何もなかったことにはできない。 しかし日軍の中国侵略が何を目的にして行なわれたのかは、いまだにはっきりしない。これまでの歴史学の主流では、陸軍の一貫した膨張主義によって「15年戦争」が計画的に行なわれたことになっているが、書は一次史料にもとづいてこれを否定する。この15年間(実際は14年)、陸軍に一貫した方針はなかった。軍の首脳部は、中国に戦線を拡大することには反対していた。 15年戦争の発端になったのは1931年の満州事変だが、その来の目的は来るべき対ソ戦

    「15年戦争」を生んだ現場主義 : 池田信夫 blog
  • 沖縄の認知的不協和 : 池田信夫 blog

    2014年01月20日19:54 カテゴリ法/政治 沖縄の認知的不協和 政治の世界では、合理的に理解できないことがよく起こる。米軍基地の辺野古移転を拒否する現職が勝った名護市長選挙もそうだ。日米政府と沖縄県が合意した基地移転を市がくつがえすことはできないし、県外という選択肢もない。この不合理な「民意」を理解する一つの答は、地域エゴとか補助金めあてという経済的な説明だが、今回は2兆円以上のつかみ金をけとばしたのだから、こういう説明には無理がある。 もう一つは、心理学の認知的不協和という概念だ。これは個人の意識と現実の行動が矛盾するとき、行動を正当化するように意識を変えるという理論だ。たとえばヘビースモーカーが「タバコは精神衛生にいい」と考え、習慣を変えられない現実から逃げようとする。 沖縄が貧しいのは彼らの責任だが、沖縄県民の脳内では、独立国だったのに琉球処分で日に征服され、沖縄戦で犠牲に

    沖縄の認知的不協和 : 池田信夫 blog
  • 大江健三郎氏の犯罪 : 池田信夫 blog

    2011年04月23日15:37 カテゴリ法/政治 大江健三郎氏の犯罪 沖縄の集団自決をめぐって争われた名誉毀損訴訟の最高裁判決で、被告の大江健三郎氏と岩波書店が勝訴した。これまでの経緯を知らない人が、大江氏が正しかったと誤解するのもよくないので、少しコメントしておく。 問題の訴訟は、2007年の記事でも書いたように、赤松嘉次大尉らを集団自決を命じた屠殺者だと罵倒した大江氏の『沖縄ノート』の記述が事実かどうかをめぐって赤松大尉の遺族などが起こしたものだ。これについては曾野綾子氏が現地調査をした上で「事実ではない」と指摘し、大江氏側も問題の記述が伝聞で確認できないことは認めた。 一審の大阪地裁は「軍の命令があったと証拠上は断定できないが、関与はあった」という理由で原告の申し立てを退けた。これは「ノーベル賞作家」に配慮した問題のすり替えである。原告は赤松大尉が集団自決を命令したかどうかを問うて

    大江健三郎氏の犯罪 : 池田信夫 blog