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ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (36)

  • 弱小野党の強い「ジャンケン国家」 : 池田信夫 blog

    2018年04月28日16:29 カテゴリ法/政治 弱小野党の強い「ジャンケン国家」 国会はセクハラ問題で1週間以上空転し、そのまま連休に突入する。野党にとっては2週間以上の「大型連休」だが、国会内の会議室では連日、野党6党の「合同ヒアリング」が開かれている。これは法的根拠がないが、憲法で国会は「国権の最高機関」と位置づけられているので、弱小野党でも役所を呼びつける力をもつ。 国会の質問でも前日まで引っ張り、役所は徹夜で国会待機する。情報量は官僚機構のほうが圧倒的に多いが、彼らは立法府に「お仕えする」立場を装わないといけない。このように政治家が官僚より強く、官僚はマスコミに強く、マスコミは政治家に強いジャンケン国家は、江戸時代から続く構造である。 主権者たる国民が意思決定を行うという憲法の原則はフィクションで、実際には行政実務のほとんどは官僚機構が行う。それを国会が立法でチェックするという

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  • 忖度と「しらす」で動く国 : 池田信夫 blog

    2017年03月26日15:10 カテゴリ法/政治 忖度と「しらす」で動く国 森友学園の騒動で、忖度という古風な言葉がよく出てくるのはおもしろい。これは臣下が天皇の「御意」をおしはかることで、これに対して天皇は臣下をしらすという形で受動的に統治する。天皇は監査役のようなものだから、臣下は「上奏」する説明責任を負うが、天皇は事後承認するだけなので無答責である。天皇が判断すると、失敗した場合に責任を負って退位しなければならないからだ。 この「まつりごと」の構造は、形式的には1000年以上前から同じである。名目的な主権者(プリンシパル)はつねに天皇だが、実権は摂政・関白や将軍などの代理人(エージェント)にあった。幕府の中でも、老中が将軍の意思を忖度して決定を行うので、将軍は合議に参加しない。老中や大目付は1ヶ月交代の輪番制で、すべての役職は二重化して相互に監視させ、特定の家(藩)への権力の集中を

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  • 苦難の神義論から十字架の神学へ : 池田信夫 blog

    2017年03月04日13:05 カテゴリ 苦難の神義論から十字架の神学へ 歴史上もっとも豊かになった時代にトランプのような不満分子の代表が大統領になり、「イスラム国」などのテロが横行するのは逆説的だが、古来こうした現象は珍しくない。キリスト教やイスラム教のようなセム系一神教は弱者のルサンチマンに迎合するポピュリズムであり、その元祖がユダヤ教だ。それを最初に指摘したのはニーチェだが、その影響を受けて書かれた『古代ユダヤ教』は、ウェーバーの代表作である。 「第二イザヤ」の預言のコアは、苦難の神義論である。これは人が苦難にあったとき、それを「神罰」と考える思想だ。罪が大きいほど苛酷な罰を受け、それを償うことによって天国で救済される――という「第二イザヤ」のイノベーションはパウロに受け継がれ、十字架の神学になった。この不合理な教義には何の証拠もないが、不合理であるがゆえに信じる者だけが天国に行

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  • 社会保障が日本経済を食いつぶす : 池田信夫 blog

    2017年01月08日00:01 カテゴリ経済 社会保障が日経済をいつぶす きのうのBS朝日「激論!クロスファイア」でも、朝日新聞の「経済成長は永遠なのか」という記事が話題になった。このタイトルが示す通り、朝日は「成長は永遠ではないのであきらめろ」といいたいらしいが、田原総一朗さんも竹中平蔵さんも私も「まったくナンセンス」ということで意見が一致した。 この記事の致命的な欠陥は、今の財政が成長を前提に設計されているという事実を見落としていることだ。その最たるものが社会保障である。厚労省の「年金100年安心プラン」の想定している名目運用利回りは、4.2%(中央値)。これは実質賃金が毎年2.6%も上がると想定している。2100年までこんな高成長を前提にして、公的年金は運用されているのだ。 朝日新聞的に説教するなら、「成長を前提にした制度設計を見直せ」というべきだった。特に年金も医療も介護も賦

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  • 池田信夫 blog : ゴジラに防衛出動は必要か

    2016年09月05日15:15 カテゴリ法/政治 ゴジラに防衛出動は必要か 「シン・ゴジラ」が、大人にいろいろ話題になっている。中でも石破茂氏が「ゴジラに防衛出動は必要ない」とコメントしたことが大きな反響を呼んでいる。もちろんこれはゴジラを論じているのではなく、危機的な状況にある北朝鮮にどう対応するのかのシミュレーションだ。 彼もいうように、根的な問題は「自衛隊の行動と権限を定める自衛隊法が出来ることのみを列挙したポジティブ・リストである」ことだ。領土や領海侵犯に対しては警察や海上保安庁が一義的に対応しますが、領空侵犯の場合は「航空警察」「航空保安庁」が存在しないため、いきなり航空自衛隊自衛隊法の「領空侵犯措置」で対応することになります。これも警察権の行使として整理されていますが、当にこれで十分な抑止力が働くのか、早急な検証と法整備が必要と考えています。こういうややこしい区別が理解

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  • 放送法第4条を廃止せよ : 池田信夫 blog

    2016年03月01日01:26 カテゴリメディア 放送法第4条を廃止せよ 放送法に違反した場合は電波を止めることがありうる、という高市総務相の発言に対して、田原総一朗氏ら7人が抗議声明を出した。いいたいことはわかるが、これは法律論としてはナンセンスである。放送法は第4条で「編集準則」を定め、放送局に次の要件を求めている。公安及び善良な風俗を害しないこと。 政治的に公平であること。 報道は事実をまげないですること。 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。このうち2の要件について、高市氏は国会で「放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性がある」と答弁したが、これは常識的な法解釈である。放送法の対象になるのは「電波法の規定により基幹放送局の免許を受けた者」であり、法

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  • SMAPはなぜ敗北したのか : 池田信夫 blog

    2016年01月19日00:13 カテゴリメディア SMAPはなぜ敗北したのか 予想どおりSMAP騒動はジャニーズ事務所の全面勝利で終わったが、私がNHKに勤務していたころは、これほど芸能事務所の力は強くなかった。この背景には、芸能界だけでなくメディア業界の劣化がある。 民放の芸能番組を企画しているのは、今や局ではなく芸能事務所である。視聴率を決めるのは企画ではなく出演者なので、ごく少数の「数字の取れる」タレントに出演依頼が集中する。このため、事務所の思い通りの番組でないと出てくれないのだ。たとえばビートたけしの事務所は「たけしの企画した番組以外は出ない」と公言している(だからNHKには出ない)。 このように番組の企画機能が芸能事務所などの「上流」に集中する一方、制作機能は下請け・孫請けなどの「下流」に出しているので、局は広告料を中抜きするだけというテレビ局の空洞化が進んでいる。これはIT

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  • NOTTV破綻で始まる電波社会主義の崩壊(1) : 池田信夫 blog

    2015年11月30日09:14 カテゴリIT NOTTV破綻で始まる電波社会主義の崩壊(1) 大手メディアがまったく伝えていないNOTTVの破綻だが、話は非常に複雑なので、連載で今までの経緯を説明しよう。まずそれを運営しているNTTドコモと民放連の子会社mmbiの今年の決算は次の通り。 2015年6月のNOTTVの決算公告 当期純損失が503億円、累積赤字(利益剰余金の赤字)が996億円と、株主資の2倍の債務超過で、普通の会社ならとっくに清算される財務状況だ。アゴラでも書いたように、これが失敗することは最初からわかっていた。不思議なのは、こんな大赤字になるに決まっているビジネスをNTTドコモの中村社長(当時)がなぜ始めたのかということだ。これには電波社会主義に特有の複雑な事情がある。 続きは12月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。 「IT」カテゴリの最新記事

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  • 正義のゲーム理論的基礎 : 池田信夫 blog

    2015年07月16日09:50 カテゴリ 正義のゲーム理論的基礎 安保国会で話題になった長谷部恭男氏のように、「安全保障のジレンマ」を誤解して国際政治を論じる法学者が多いのは困ったものだ。書も第5章で説明しているように、Tit-For-Tatは完全情報の2人ゲームが無限に続くときに限ってナッシュ均衡になる特殊な戦略にすぎず、同様の戦略は無限にある。 著者はこの分野の第一人者で、書は大著"Game Theory and the Social Contract"を一般向けにコンパクトに書き直したものだ…といってもゲーム理論を知らない人にはおすすめできないが、学部程度のゲーム理論を理解した学生にはおもしろいと思う。 書の結論はロールズの格差原理に近いが、彼とは違って「公正な分配」が社会的効用の最大化をもたらす、という功利主義をゲーム理論で証明しようとするものだ。その論理は簡単にいうと、

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  • 「選挙ではなくデモを」と呼びかける朝日新聞 : 池田信夫 blog

    2015年07月13日11:50 カテゴリ法/政治 「選挙ではなくデモを」と呼びかける朝日新聞 きのうの朝日新聞の天声人語が、こう書いている。安保関連法案に反対する大規模な抗議行動が始まった▼勝手に決めるな。それは、決めるのは私たち、主権者は私たちだという叫びである。投票だけが国民の仕事ではない。時の政権に常に目を光らせ、必要なら声を上げる。▼哲学者の柄谷行人さんは以前、3・11後の反原発デモに触れ、「人がデモをする社会」という文章を書いた。人々が主権者である社会は、選挙によってではなく、デモによってもたらされる、と。朝日新聞にとって主権者の意思を表明するのは選挙ではなく、デモらしい。柄谷氏のこの議論は彼のオリジナルではなく、カール・シュミットの『現代議会主義の精神史的状況』の引用である。そこでシュミットはこう書いている。1億の私的な人々の一致した意見といえども、それは人民の意志でも世論で

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    usaginomimi-hateb
    usaginomimi-hateb 2015/07/13
    天声人語は直接行動を推奨のようです。血盟団事件までもう少し?目的は手段を正当化する空気はあの戦争の前にもあったような。
  • 敵を失って劣化した保守 : 池田信夫 blog

    2015年07月03日01:25 カテゴリ 敵を失って劣化した保守 今月からアゴラ読書塾(まだ申し込めます)は、戦後の保守派知識人を読む。左翼が劣化したおかげで自民党政権は盤石だが、彼らは戦後の「論壇」では一貫してバカにされる傍流だった。書はそういう保守派が『文藝春秋』に書いた記事を集めたものだ。 しかしいま読むと、常識的でつまらない。その原因は、彼らの批判していた空想的平和主義や社会主義が崩壊し、かつては異端だった彼らが常識になってしまったからだ。小泉信三の「平和論」は1952年に「全面講和論」を批判したものだが、軍事力もなしに中立を守る国は世界中どこにもないという主張は「ごもっとも」というしかない。 林健太郎の「マルクス主義との格闘」も、歴史学において講座派マルクス主義の影響が戦後も強く残り、そういうドグマと闘って実証的な歴史学を築くことがいかに大変だったかという体験談だが、これも

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  • 〈満洲〉の歴史 : 池田信夫 blog

    2015年06月22日10:06 カテゴリ 〈満洲〉の歴史 「企業一家」を守る厚労省と、乱闘まで演じてそれと一体化する民主党=労組の家父長主義の原型は、戦前の<満州国>にある。ここでは関東軍と満鉄が中心になって計画経済の実験を行なった。「国防国家」の建設と、労働者を「正社員」として総力戦に動員する社会政策は一体だったのだ。 その中心になったのが関東軍の石原莞爾と満鉄の宮崎正義で、それを実行したのが総務庁の岸信介だった。彼らが1936年につくった「5ヶ年計画」は、ソ連をモデルにして満州の重化学工業化を進める計画だったが、関東軍が南下して戦線が拡大したため物資と人員が不足し、失敗に終わった。 これを岸が戦後の日で実現したのが、通産省と厚生省である。彼は戦後も右派社会党に入党しようとしたが、計画経済と社会政策を重視する岸の家父長主義は、自由党より社会党に近かった。そして国民年金や国民皆保険な

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  • 直そうとしても直らない「タコツボ構造」 : 池田信夫 blog

    2015年06月07日10:47 カテゴリ法/政治 直そうとしても直らない「タコツボ構造」 きのうの記事でも書いたように、日の「国のかたち」の最大の欠陥は、各省庁の自律性が強く内閣の求心力が弱いタコツボ構造にある。これは「言論アリーナ」で片山杜秀さんがいったように、明治時代から受け継がれている。日米戦争に突っ込んだ最大の原因も、統帥権が独立していて内閣が軍をコントロールできなかったためだ。 この奇妙な構造の一つの原因は、明治憲法から内閣を削除した制度設計の失敗だった。美濃部達吉はこの欠陥に気づき、天皇機関説で内閣に実権を与える解釈改憲で是正しようとしたが、右翼に攻撃されて挫折した。大政翼賛会は「強い内閣」をつくる試みだったが、近衛文麿は「天皇の大権をおかすヒトラーだ」と攻撃されて内閣を投げ出した。 タコツボ構造は議院内閣制になった戦後も変わらなかったので、これを政治主導にしようという試み

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  • 香山リカ氏の解釈改憲論 : 池田信夫 blog

    2015年04月26日18:23 カテゴリブログマガジン 香山リカ氏の解釈改憲論 きょうのニコニコ超会議のテーマは「憲法改正」。またいつもの無限ループになるかと思ったが、おもしろかったのは、香山リカ氏が「解釈改憲」に賛成したことだ(3:45:30以降)。彼女が「自衛権は国の自然権だ」というので、私が「憲法第9条では戦力の保持を禁じているんだから、自衛隊も解散すべきじゃないの?」と質問したら、「今の自衛隊は認める」という。「それは自衛隊を合憲と認める解釈改憲ですね」と質問したら、彼女は答に詰まってしまった。 要するに問題は改憲か護憲かという1か0かの選択ではなく、程度の問題にすぎないのだ。自民党の改憲案のように自衛隊の名前を「国防軍」と変えるだけなら意味がないが、核戦争や非対称戦争のような今の憲法の想定していない戦争にどう対応するかについて憲法で規定する必要はあると思う。 しかし今の国会情勢

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  • 被災者の地獄への道は村上春樹の善意で舗装されている : 池田信夫 blog

    2015年04月11日17:29 カテゴリその他 被災者の地獄への道は村上春樹の善意で舗装されている かつて私は村上春樹の小説の熱心なファンだったが、彼の社会的な発言は単なる平和ボケの団塊オヤジだ。いま話題になっている「原発NO!に疑問を持っています」という話でも、「交通事故で毎年5000人近くが亡くなっているのに、原発だけを取り上げてNO!というのはどうかと思う」という読者の質問に、村上はこう答える。福島の原発(核発電所)の事故によって、故郷の地を立ち退かなくてはならなかった人々の数はおおよそ15万人です。桁が違います。[…]もしあなたのご家族が突然の政府の通達で「明日から家を捨ててよそに移ってください」と言われたらどうしますか? そのことを少し考えてみてください。原発(核発電所)を認めるか認めないかというのは、国家の基幹と人間性の尊厳に関わる包括的な問題なのです。まず彼はここで毎年50

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  • 「翼賛体制」をつくった知識人たち : 池田信夫 blog

    2015年03月31日10:43 カテゴリ 「翼賛体制」をつくった知識人たち 「翼賛体制構築に抗する声」と称するウェブサイトができているが、テロリストを支持してマスコミからお呼びがかからなくなった集団らしい。彼らは知らないだろうが、戦前の「翼賛体制」をつくったのは、こういう自称知識人だったのだ。 丸山眞男は、ファシズムに協力した人々を「亜インテリ」と呼んたが、実は翼賛体制の中心になった人々には、彼のいう物のインテリも含まれていた。東大教授の蝋山政道、朝日新聞論説委員の笠信太郎、哲学者の三木清が中心になって1933年につくった昭和研究会が近衛文麿のブレーントラストだったのだ。 彼らの問題意識は、ハイデガーやカール・シュミットと似ていた。大恐慌後の1930年代の混乱に対して、政党政治がなすすべがない現状を憂えて、政党を超えた「協同体国家」の建設を提唱したのだ。その理論的中心になったのは、三

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  • 主権国家が終わり「世界内戦」が始まる : 池田信夫 blog

    2015年03月20日12:30 カテゴリ 主権国家が終わり「世界内戦」が始まる 戦後70年を総括するとき、あの戦争が<侵略>だったのかという問題ばかりが論じられるのは不幸なことだ。それは国際法的には自明だが、大した意味はない。<侵略>は戦争の敗者を罰するためにつくられた政治的概念だからだ。 第1次大戦で戦争責任を一方的に負わされたドイツ人は憤り、カール・シュミットは「勝者の秩序」としての国際連盟の正統性に疑問を抱く。それは「法の支配」の形式をとるが、国際法に法の支配は存在しないので、その実態は戦勝国による占領という現状維持である。 これを正統化する国家主権の概念にも、シュミットは疑問を抱く。国際連盟を構成する国家は自律的でも同質的でもないので、その秩序は脆弱だった。それは自由主義的な普遍性を建て前にしているが、実態は国際法と称する戦勝国の論理で各国に干渉する間接支配の体制であり、ドイツ

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  • 左翼はなぜ劣化したのか : 池田信夫 blog

    2015年03月09日10:59 カテゴリ法/政治 左翼はなぜ劣化したのか アゴラの宇佐美典也さんの記事が話題になっているが、私も最近の古賀茂明さんの言動をみて「日の左翼はなぜここかまでだめになったのか」と暗澹たる気分になった 終戦直後の野党は自民党と拮抗する発言力をもっており、短期間だが社会党の片山哲が首相になったこともある。戦争に反対した共産党の知的権威は高く、戦後は多くの知識人が集まった。 しかし彼らのエネルギーは政権を取るよりも、党派闘争に向いた。1950年に「コミンフォルム批判」で主流派(所感派)と国際派に分裂し、主流派が火焔瓶闘争などの極左的な方針を打ち出した。これは当然のことながら政治的には大失敗となり、共産党は壊滅的な打撃を受けた。 東大細胞を中心とする学生は国際派の「分派組織」になり、のちには共産主義者同盟(ブント)として分裂した。これが60年安保の主役になった全学連主

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  • 大正デモクラシーはなぜ自壊したのか : 池田信夫 blog

    2015年02月25日11:43 カテゴリ法/政治 大正デモクラシーはなぜ自壊したのか 衆議院予算委員会は、西川農相の辞任騒動で紛糾し、予算の年度内成立が困難になったようだ。予算委員会が予算と無関係なスキャンダルで止まるのは、戦前から続く悪習である。 「大正デモクラシー」で政友会と民政党の二大政党が交代する慣行ができたが、予算は内閣がつくるので、帝国議会は予算に「協賛」するだけで修正する権限がなかった。このため注目を集める予算審議が、スキャンダル暴露の場になった。 こういう状況は、1928年の普通選挙で悪化した。高畠素之は「普選法による有権者は有象無象が多く、政党や政策を見て賛否を決するよりも、候補者の閲歴や声望に基づく有名無名が、彼らの判定する人物的上下の標準となる場合が多い」と評している。 普通選挙で巨額の選挙資金が必要になったため、政治腐敗が拡大し、各官庁の官僚や全国の地方官庁が政党

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  • 主権国家という偽善 : 池田信夫 blog

    2015年01月31日16:45 カテゴリ 主権国家という偽善 国家の体をなしていない「イスラム国」は、主権国家が書のいう組織された偽善であることを示すマンガである。国際政治学でよく知られているように、現在の国際秩序はナッシュ均衡ではない。つねに国際協調から逸脱することによって、利益を得ることができるからだ。 主権の概念には、大きくわけると国内的な主権と国際的な主権があり、後者の中でも近代国家に特有の概念を書はウェストファリア的主権と呼ぶ。これは形式的には1648年のウェストファリア条約で成立したが、国際的に制度化されたのは第1次大戦後の国際連盟であり、いまだに安定した制度になったことがない。ウェストファリア的主権の最大の弱点は、それが領土から他国を軍事的に排除する権限に依存していることだ。たとえば尖閣諸島を日が領有することは、経済的にはほとんど意味がない。資移動の自由な世界では

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