(北村 淳:軍事社会学者) アメリカのアレックス・アザー厚生長官が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談した。近頃、目に見えて強まっているトランプ政権による対中強硬姿勢提示の一環である。 対外危機に活路を求めるトランプ 大統領選を前にしてトランプ政権は、新型コロナウイルスの世界最悪の感染状況を改善することができないうえに、警察暴力に端を発した人種差別問題の沸騰や、人種問題や警察暴力に対する抗議デモに対して軍隊や連邦機関を投入してでも制圧しようとする姿勢が極めて非民主的であり米国内の分断を深刻化させているとして強烈な批判を浴びている。選挙戦で劣勢に立たされているトランプ陣営が活路を求めているのは、対中強硬姿勢を可視化させて、八方ふさがりの国内情勢から対外“危機”に有権者の目を向けさせるという“陳腐”な手法である。 トランプ政権は、中国による軍事的優勢が確立しつつある南シナ海に空母艦隊を2セット派遣し
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