昨日(5/17)、普天間問題をめぐって福島瑞穂と鳩山由紀夫の党首会談が行われた。これまで、電話でのやり取りはあったが、正式会談は初めてで、意味は小さくない。背景には、県内移設に反対する沖縄の民意の高揚と示威があり、この問題での社民党内における福島瑞穂のヘゲモニーの安定がある。また、国新党の亀井静香の先送り姿勢がある。5/19に前倒しと伝えられた鳩山由紀夫の訪沖は、再び5/23で調整と延期された。政府(官僚)側の攻勢が少し弱まっている。一進一退。この福島瑞穂の巻き返しの動きにより、平野博文は5月末決着の政治形式を「閣議了承」から「首相発言」へと後退させた。官僚と閣僚たちは、徳之島への訓練移転で具体的な成果を上げ、仲井真弘多との合意の中身を作ろうと必死だが、現時点では仲井真弘多が合意できる内容は何も埋まっていない。無能な平野博文に徳之島の切り崩しを担当させている点が、仲井真弘多には大いに不満で
ドグマ(教条)の語の意味について、平凡社の哲学事典は次のように説明している。「宗教の信仰内容がカトリック教会の会議によって公認され、教皇の宣言によって権威づけられて、理性の批判を許さぬ教理となったもの」「学問でも常識でも支配的イデオロギーを権威として無批判的、盲目的に信仰される命題」「一般に根拠に基づいて論証されたのではない主張」(P.1020)。先週からマスコミで喧しく議論されている「海兵隊の抑止力」の言説は、まさにこの定義に適合する性格の主張だと言える。「沖縄に置いている米海兵隊の抑止力のおかげで日本の平和が守られている」と、論者がテレビの番組で言うとき、その中身は全く検証されない。その命題に対して、異議や批判がスタジオの中から上がり、討論で真偽を問い争う場面には一切ならないのである。誰かが「海兵隊の抑止力」論を言えば、キャスターを含めた番組出演者はそれを素通りさせ、暗黙のまま肯定する
この連載では、途上国の抱えるさまざまな問題について、専門家にご意見をうかがいながら、読者の皆さんに、日本ができる貢献のあり方について、具体的なお話をお伝えしてきました。私自身、アフリカのスーダンとウガンダに足を運び、数多くの日本人が紛争地帯の復興支援に従事し、また新しい国づくりのお手伝いをしていることを目の当たりにし、途上国の問題を解決することが日本を含む世界の平和につながることを実感しました。 最終回では、JICAの理事長を務められる緒方貞子さんに、今、そしてこれから日本が世界の途上国に対して、どんな国際協力ができるのか、国際協力を通して、日本という国と日本人が得られることは何かについて、お尋ねします。 緒方貞子 氏 国際協力機構(JICA)理事長 1963年カリフォルニア大学バークレー校にて政治学博士号取得。1991-2000年、第8代国連難民高等弁務官。2001年以降、人間の安全保
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世がTwitterのアカウントを開設した。 ダライ・ラマは訪米中の2月22日、「@DalaiLama」でTwitterへの投稿を始めた。投稿開始から24時間もたっていないが、既に3万人を超えるフォロワーを集めている。 今のところ、投稿内容は主に、ダライ・ラマ公式サイトのポッドキャストや写真へのリンクだ。本人の投稿というよりは、スタッフが書き込んでいると思われる。 ダライ・ラマは22日に、ロサンゼルスでTwitter創設者の1人、エバン・ウィリアムズ氏と会談した。ウィリアムズ氏はTwitterに「今日LAでダライ・ラマと会った。Twitterを使うよう勧めた。彼は笑った」と書き込んでいる。 昨年2月、Twitterにダライ・ラマを名乗る偽物が登場する騒ぎが起きたが、@DalaiLamaは本物であると確認が取れている「認証済みアカウント」だ。
国際社会が今年迎える山場の1つが、アフガニスタンである。昨年12月1日、オバマ米大統領は3万人の増派を決定し、同時に2011年7月に撤退を開始すると宣言した。米軍に促されて、韓国軍やスペイン軍など増派の方向へと歩みを進める国もある。 日本は11月10日首相官邸がアフガニスタンへの大々的な支援を発表した。それは軍事行動ではなく日本独自の民生支援だ。 タリバン掃討はできるか、アフガニスタンの人々はどうなるのか、国際社会のアフガニスタンへのかかわりについて考えてみたい。 カンダハールから始まったタリバンの進軍、そこを狙う米軍 米軍は、カンダハールをタリバンから奪還する作戦を取ろうとしている。 カンダハールは、タリバンが軍事行動を始めた地域だ。タリバンはここを拠点にして急速にほかの地域に支配地を広げ、1995年9月にはイラン国境のヘラート州を制圧、カブールも1年後には占領した。米軍がカンダハールの
伊東さんのコラム「常識の源流探訪」はいつも頷きながら愛読しておりました。わたくしは古希を過ぎた老残のもと科学者です。以前芸術系物理学者と自己揶揄的に名乗っておられましたね。わたくしは敢えて申します、芸術系化学者でした。それから今回の貴台の設問、カネが(研究費)がなければ研究をしないのか、金で買われた研究をやっているのか、全面的に賛同します、わたくしの研究室は実に貧乏でした。ビッグサイエンスとスモールサイエンスと仕分けされましたね、私の所はプアーサイエンスpoor science でしたのでしょう。それでもなにがしかの成果はあげられたと信じています。その過程でわたくしの脳裏に染み込んだ命題(というほどでもないけれど)研究費は少し足らないぐらいがいい。世にはカネはいくらでも、あればあるほどよい、と思い込んでいる愚かな輩も沢山いますけれども。 多くの場合、研究費があると、どう使っていいか分からな
池上 彰(いけがみ・あきら) 1950年生まれ、長野県松本市出身。慶應義塾大学経済学部卒。1973年NHKに入局。松江放送局、広島放送局呉通信部を経て、東京の報道局社会部、警視庁、気象庁、文部省、宮内庁などを担当。1994年より2005年3月までNHK「週刊こどもニュース」キャスター(お父さん役)。2005年3月に退職、フリージャーナリストに。 こんにちは、池上彰です。 テレビや新聞では、アジアやアフリカなど途上国の貧困問題や食料問題やさまざまな紛争について日々報道されています。またこうした途上国に、日本の公的機関やNGO、ボランティアの方々が赴き、国際協力の現場で毎日奮闘しています。 ただし、普段日本で生活していて、途上国が抱えるさまざまな問題について思いをめぐらせる機会というのは、なかなかありません。 日本という国自体が、長引く不況で、企業も個人も疲弊しています。「格差」や「貧困」問
今日(11/9)は新聞の休刊日のため、昨日の沖縄の県民大会について新聞の記事を確認できない。新聞が社説でどう論じるか、紙面でどれほどの大きさで取り扱うかを点検できない。だが、昨夜のNHKの7時のニュースでは、かなり時間を割いて集会の映像と共に普天間移設問題を報道し、沖縄の民意の所在を直截に伝えていた。ニュースの中で普天間第二小学校とその教師が登場、校庭の上を軍用ヘリや戦闘機が飛ぶ危険な実態と生徒たちの証言が紹介されていた。NHKが普天間第二小学校の映像を放送するのは初めて見る。普天間基地問題を伝えるとき、テレビ報道が見せなくてはいけないのは、何より爆音下の普天間第二小学校と普天間第二幼稚園の生の現状である。この二つは滑走路の延長線上にある。ニュースでは、来年1月の名護市長選でも、辺野古沖移設に反対の市長が選ばれるだろうという見通しを示していた。集会の映像では、 宜野湾市長の伊波洋一の意見表
9月22日にニューヨークで開かれた国連総会で、「2020年までに25%の温室効果ガスを削減(1990年比)」という目標を述べ、大きな賞賛を受けた鳩山由紀夫総理。まずは、華々しい外交デビューを飾った。 日本が世界でこれからどのような役割を果たしていくのか。外交政策は重要なカギを握る。世界的ベストセラー『大国の興亡』の著者であるポール・ケネディ米イェール大学教授に師事、サウジアラビアへの赴任経験を持つ外務省の菊地信之氏に話を聞いた。 佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 本日はよろしくお願いします。お会いするのは、8月の衆議院選挙の日以来ですね。 菊地 信之(以下、菊地) こちらこそお願いします。そうですね、8月30日に、選挙速報のテレビを仲間とともに見ましたね。今日は、友人のゆみさんがインタビュアーということで喋り過ぎてしまうのではないかと少し心配しています(笑)。 でも逆にとても貴重な機会ですので、積
リオ・デ・ジャネイロとはジャネイロ川の意味である。リオはリバー。ブラジルには北東部にリオ・グランデ・ド・ノルテ州があり、南端の国境部にリオ・グランデ・ド・スル州がある。「北の大河」州と「南の大河」州であり、アマゾン川とラプラタ川を意味する。五輪開催が決まったコペンハーゲンのIOC総会会場で、ルーラが感無量の涙を流していた。ルーラは、世界の政治家の中で私が最も信頼を寄せ、高い評価を与えているカリスマ的指導者である。ルーラのような傑出したスペックとケイパビリティを持った政治指導者は日本にはいない。4年ほど前のNHKのドキュメンタリー番組で紹介されていたが、貧しい農民の子として生まれたルーラの家には電気も引かれていなかった。少年時代の境遇を忘れないために、ブラジルの農村の貧困を忘れないために、必ずこの場所を訪れるのだと番組で自ら語っていた。一家は貧しい北東部の農村から出てサンパウロに移住、ルーラ
彼の名前はゲハルト・ラーソン。前回、前々回とリポートした“障害者団体”、サムハルの生みの親である。 1980年の設立以降、19年間にわたってサムハルの経営トップの座にあった。99年に退任した後は、昨年までスウェーデン中部のヴェステルノールランド県の知事を務めた。63歳になった今も「食品安全対策委員会」や「薬物乱用対策委員会」の議長など政府の要職を占める。 ゲハルトの経歴は日本の常識では測れない。 28歳の事務次官 69年に大学を卒業したゲハルトはスウェーデン南部の都市、ベクショーの市役所で働き始めた。ここで医療や福祉を担当したゲハルトはベクショーの障害者福祉政策を大きく転換した。それまで精神的な障害を持つ人々に対しては大規模病院でまとめてケアしていたが、ゲハルトは地域にコミュニティークリニックを作り、個別対応のケアを実行したのだ。それまでの政策を大きく転換する決断だった。 その取り組みが評
まず、国際会計基準委員会(IASC)が開発した個別の基準書のことを示すときはIAS(国際会計基準)○号と表記する。IASCはその後、国際会計基準審議会(IASB)という新体制に移行したが、そこで開発された基準書を指すときはIFRS(国際財務報告基準)○号と表記する。 そして、上記個別の基準書と詳細な取り扱いを記した解釈指針を総称するときは、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)略してIFRSまたは個別の基準書の略称との混同を避けるため「IFRSs」と複数形で表記する。ただし、新聞などのメディアでは、分かりやすさを優先してか、総称するときも国際会計基準と表記するのが一般的で、2009年6月16日に金融庁から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」、いわゆる日本版ロードマップ(日本におけるIFRS導
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン アメリカの報道をきっかけに、北朝鮮の「テポドン」関連の話題が騒がしいことになってきました。私の結論は「本質を見抜く目をもって落ち着いて事態の推移を眺める」という以上でも以下でもないのですが、騒ぎの表層、米軍や韓国軍の落ち着いた対応と、(支持率がすでにまともな体をなしていない)麻生太郎政権の対応など、表面的な「空騒ぎ」の底流で、より本質的に深刻な「技術に関する定見の喪失」が進んでいると、改めて痛感しています。 元来は今週から辻井喬さんとの対論の掲載を予定していたのですが、今回は「テポドン」をきっかけとして、この問題を考えてみたいと思います。 「喪失」を象徴する事件 3月13日のことです。研究室のF君からのメールで、私は「国立産業技術史博物館」計
読者の皆さんは、ナチス・ドイツの絶滅収容所が「人道的配慮」から建設された、という話を聞いたことがあるでしょうか? 私もつい最近まで、こんな話は全く知りませんでした。しかし悪質な冗談などではなく、極めて身勝手なナチス側の「人道的配慮」で進められたことを、史料を通じて最近認識したものです。 前回も触れましたように、ナチス・ドイツ政府は、極秘に進められた国の「公共事業」である民族浄化、つまり欧州全体のユダヤ人を絶滅させる「ホロコースト」を「経済政策」として進めてゆきました。その途中で、様々な「人道的配慮」を払いながらエスカレートさせていった、というのです。ドイツ政府は、ものごとの根本で決定的に誤った判断を下しながら、具体的な施策段階では、極めて「合理的」に計画を実行した、そこに「人道的配慮」があった、と戦後の裁判で被告人たちが述べているものです。 この「人道的配慮」は前回ご紹介した「ヴァンゼー会
(前回から読む) 寺島 あと、もう1つあえてつけ加えるならば、今回の反省すべき点として、IT革命の成果を最もしたたかに取り込んだ連中が、不幸にして金融だった、ということなんだよね。 ―― ああ、それは鋭い指摘ですね。 寺島 僕は「ITとFTの結婚」ということを言い続けているんだけどさ。ファイナンシャルテクノロジーとしてITを使ってね。デリバティブなんていうのはその典型だよね。オンライン情報ネットワーク技術なかりせば、この世に成立しなかっただろうというビジネスモデルですよ。そういうものがつまり、ITで武装した金融ということになった。理工科系の卒業生が金融というところに吸い込まれることによって…。 ―― 東大でも工学部から大量にカタカナ業種に進みましたね。 寺島 業界の空気がどんどん変わってしまったんだよ。それが問題の元凶になった。 ITとFTの不幸な結婚 寺島 実郎(てらしま・じつろう)氏
作家の村上春樹氏が、2月15日にイスラエルの文学賞「エルサレム賞」の授賞式で行った記念講演の内容が話題になっています。 イスラエルでは3週間に及ぶ空爆を受けたガザの情勢も、「停戦」しているとはいえ予断を許さない状況で、村上氏はこの賞を受けることや授賞式に参加することで、「イスラエルの軍事政策を支持する印象を与えかねない」と多くの人から意見されたそうです。 村上氏はその可能性も考えながらも、「欠席して何も言わないより話すことを選んだ」と決めたそうです。 壁と、そこにぶつけられる卵があったら このスピーチは英語で行われているのですが、多くのブロガーたちによって翻訳もされています。私も原文と翻訳を見て、非常に素晴らしいスピーチだと思いました。ここでは、重要な部分について私の抄訳を載せます。 村上氏はスピーチの冒頭で、この賞を受賞し、エルサレムの授賞式に行くべきかどうか迷ったこと、そして多くの友人
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く