阪神・淡路大震災以降、災害続きの日本に定着してきた「災害ボランティア」。ところが能登半島地震の直後、石川県などが能登への「不要不急の移動」をしないよう呼びかけたことをきっかけに、現地に向かうボランティアを責める「自粛論」が交流サイト(SNS)で広まり、人手不足はなお続く。自粛論はなぜ起きたのか。自主性を押し込め、ボランティアを統制しようとする社会の意識は、支援の思いまでそいでいないか。(山田祐一郎、宮畑譲)
4日の参院予算委員会では、自衛隊の戦車やミサイル生産を受注する三菱重工業が自民党に政治献金し、経営幹部が政策に影響を与える防衛省の有識者会議のメンバーを務めていることを巡って、質疑が繰り広げられた。立憲民主党の辻元清美氏は、利害関係者を有識者会議に入れるのは控えた方がいいと追及。岸田文雄首相は「寄付によって左右されるものではないと考えている」と述べ、問題ないとの認識を示した。(川田篤志) 辻元氏は、防衛省、自衛隊の元幹部や大学教授ら計17人で構成する「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」のメンバーに三菱重工の宮永俊一会長を選んだ政府の対応を問題視。「防衛省と利害関係者じゃないか。企業のためにも利害関係者は入れない方が良い」と指摘した。首相は「実際に防衛産業に関わっている方から意見を聞くのは不自然ではない」と主張した。 防衛力の抜本的強化に関する有識者会議 2022年12月に閣議決定した国
雑誌専門図書館「大宅壮一(おおやそういち)文庫」(東京都世田谷区)が1億4000万円を投じ、ホームページ(HP)から利用できる記事検索システムを大規模にリニューアルした。最大の特徴である「索引」のデータベース(DB)を大幅に拡充し、スマートフォン用の画面も見やすく一新。雑誌文化の衰退に歯止めがかからず、来場者の減少で文庫の存続も危ぶまれる中、思い切った投資で苦境の脱却を図りたい考えだ。(原田遼) 大宅壮一と文庫 大宅壮一(1900〜70年)は戦後日本を代表する評論家で、「一億総白痴化」「恐妻」など多くの造語を生み出した。文庫は大宅の死後、約20万冊の蔵書を広く利用してもらおうと、遺族らが東京都世田谷区八幡山にあった書斎を改装し、71年に日本初の雑誌専門図書館として設立された。現在は公益財団法人が、入館料や寄付金などで運営している。入館料は一般500円。開館時間は午前11時〜午後6時(閲覧受
世界で最も身体拘束が行われている日本の精神科病院。厚生労働省では現在、拘束要件の見直しが不透明なまま進むが、精神科病院を束ねるドン・日本精神科病院協会(日精協)の山崎学会長(82)はどうとらえているのか。「こちら特報部」の単独インタビューに応じた山崎氏の言葉を詳報する。(木原育子) やまざき・まなぶ 2010年から日本精神科病院協会会長。22年5月の厚労省の私的検討会に突如、参考人として出席し、議論の風向きを変えるなど影響力が大きい。18年には協会の機関誌に「(患者への対応のため)精神科医にも拳銃を持たせてくれ」という部下の医師の発言を引用し、物議を醸した。安倍晋三元首相と親しかったことでも知られる。日本大医学部卒。
優菜さんは、ペルーから来た非正規滞在者の両親の下、日本で生まれた。その後、母が定住資格を持つブラジル出身の日系3世の今の父と再婚した後も、母や兄とともに在留資格が与えられない。優菜さんは知らなかったが、小2の時に退去命令が出され、いつの間にか就職も自由な移動も禁じられる「仮放免」になっていた。
四半世紀にわたり続いていた炊き出しの現場が失われようとしている。東京・渋谷駅近くの美竹公園。再開発を理由に、公園を管理する渋谷区が突然、周囲に囲いを立てて出入りの制限に乗り出した。「ここで生きつないできたのに…」。ハロウィーンの喧噪(けんそう)をよそに、切実に語る利用者の声に耳を傾けた。 野菜と鶏肉のまぜご飯。これが、美竹公園の定番メニューだ。公園を拠点とする困窮者支援団体「のじれん」が29日に開いた炊き出しは、豚汁付きで172食が提供された。ボランティア約50人と路上生活者が協力して調理し、配る。支援者の1人は、行列をみながらつぶやいた。「ここでの炊き出しは、きょうが最後かもしれません」—。
岸田文雄首相は31日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党所属の国会議員との接点を調べ、公表する考えを表明した。世論の反発に押され、これまで消極的だった実態解明に取り組む姿勢をアピールするのが狙いだが、内容は形式的にとどまり、党内で最も関係が深かったとされる安倍晋三元首相とのつながりを明らかにすることにも及び腰だ。識者からは「対応が不十分」と批判も出ている。(佐藤裕介) 党が8月26日に始めた調査では、教会側から選挙支援を受けたかどうかや、教会主催の会合に出席したり、祝電やメッセージを送ったりしたかなどについて、9月2日を期限に回答を求めている。選挙支援を受けるなどした議員に限って、氏名を明らかにする方向で検討している。首相は「(教会と党所属議員が)密接な関係を持っていたのではないかと、国民から引き続き懸念や疑念の声をいただいている。重く受け止め、党として説明責任を果たす
群馬県の狩野(かのう)浩志県議(61)=自民=が、県議会議長だった2019年8月、議長応接室で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係者と面会していたことが、本紙の取材で分かった。狩野氏は20年1月、前橋市内で開かれた旧統一教会の関連団体が主催するイベントに来賓として出席し、翌月の前橋市長選に出馬表明していた新人への支援を求めるあいさつをしていた。 狩野氏と県議会事務局によると、旧統一教会の関係者の訪問は19年8月8日。世界平和を願い自転車で県内を縦走する、旧統一教会関連団体主催の「ピースロード」の開催について、約20人が説明に訪れた。 また、狩野氏は20年1月19日、旧統一教会関連団体が主催する、前橋市内のイベントに来賓として出席。翌2月に投開票される前橋市長選に出馬予定の新人の支援を求めた。会場には旧統一教会幹部も出席していた。 狩野氏は、旧統一教会関係者から議長応接室に訪問を受け
安倍晋三元首相の国葬実施が閣議決定された22日朝、東京・永田町の首相官邸前で市民団体が抗議集会を開いた。 「許すな!憲法改悪・市民連絡会」など都内で活動する11の市民団体が企画し、約400人(主催者発表)が参加。「国葬NO!」「税金使わないで!」などと書かれたプラカードを手に、「反対世論の声を聞け」「国葬の政治利用、許さない」とシュプレヒコールを上げた。 東京都台東区から駆けつけた無職神田さよ子さん(70)は「新型コロナ禍で入院できない人、生活が苦しい人もいるのになぜ多額の国費を費やすのか。事件自体は気の毒だが、別問題だ」と語気を強めた。同連絡会の高田健共同代表は「法令上の規定もないのに、国会を開かずに一方的に閣議決定するのは民主主義に反する。世論の分断と対立もあおりかねない」と訴えた。
8日死去した安倍晋三元首相は、2012年の第2次政権発足以来、歴代最長となる2822日の連続在職日数を記録した。第1次政権を含む通算在職日数も歴代最長の3188日だった。識者は「強いリーダーシップで安定的な政治を実現した」と評価する一方、政治的見解の異なる人を攻撃し、社会に分断をもたらしたとも指摘する。 東京大先端科学技術研究センターの牧原出(いづる)教授(政治学)は「右派勢力を結集する力にたけ、選挙に勝って自民党と官僚をコントロールし、『一強』を実現した政治家だった」と振り返る。「外交面では環太平洋連携協定(TPP)加盟やトランプ米大統領(当時)と親密な関係を築くなど、日本の存在感を示した」と評価した。 牧原氏は、安倍官邸が省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局などを活用し、官僚へのコントロールを強めたと指摘。「与党内でも政権に歯向かうと何をされるか分からないという報復的な手法により、政
ロシアによるウクライナ侵攻の報道を長時間見る人ほど、精神的健康(メンタルヘルス)を悪化させる傾向があるとする調査結果を、一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」が1日、発表した。特に女性に抑うつ感が強かった。厚生労働省で会見した荻上チキ代表は「報道に触れる量のコントロールと触れた後のケアが重要」としている。(沢田千秋) チキラボは新型コロナウイルス禍でのストレス状況を調べるため、抑うつ感や不安感などを測るウェブアンケートを定期的に実施。ロシアの侵攻開始から約3カ月後の5月の調査では、中度以上の抑うつ感を感じた人が、若年と高齢女性で著しく増加した。18~39歳の女性は3人に1人が抑うつ感を抱え、60~79歳の女性は、抑うつ感、不安感ともに、新型コロナ禍のここ2年間で最高値だった。
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