学べば学ぶほど、奥が深い薬の世界。もと製薬企業研究員のサイエンスライター・佐藤健太郎氏が、そんな「薬」についてのあらゆる雑学を綴るコラムです。 医薬品の一般名は、一定の規則に従って命名され、世界で共通の名称が使われることになっています。ジャンルによって共通した語尾が用いられるよう規定されており、たとえば抗ウイルス剤には「ビル」(-vir)が、DPP-4阻害剤には「グリプチン」(-gliptin)がつくといった具合です。長い名前の薬も多いので、薬剤師のみなさんは覚えるのも一苦労と思います。 ところが最近、ちょっと気になる知らせが飛び込んできました。2021年10月に行なわれた世界保健機関(WHO)の専門家会議で、抗体医薬の命名ルールが変更されることが決まったのです。かなり大きな影響がありそうですので、ご紹介しておきたいと思います。 これまでの命名規則 これまで、抗体医薬にはステム(語幹)とし