今回は、ドイツの新鋭監督イルケル・チャタクによるサスペンススリラー、「ありふれた教室」をご紹介します。この映画は、予想外の展開と緊張感あふれるストーリーで観客を引き込み、ドイツ映画賞で作品賞を含む5部門を受賞し、第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にもノミネートされた話題作です。 仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得ていきます。しかし、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われてしまいます。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを開始し、職員室の様子をひそかに撮影した映像に、ある人物が盗みを働く瞬間が収められていました。 しかし、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は、やがて保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立といった事態を招いてしまいます。後戻りのできないカーラは、次第に孤立無援の