機械との競争 [単行本] 著者:エリク・ブリニョルフソン(MITスローンスクール経済学教授) 出版: 日経BP社 ★★★☆☆ 日銀の総裁・副総裁の候補にリフレ派が選ばれたが、彼らの根本的な勘違いは、デフレは貨幣的現象だという思い込みだ。吉川洋氏が示すように、デフレの最大の原因は名目賃金の低下という実物的現象なので、日銀がいくら金を配っても止まらない。 では賃金が低下しているのは、なぜだろうか。吉川氏があげるのは新興国からの低価格の輸入品との競争だが、もう一つ重要な原因がある。それが本書のテーマであるIT技術革新だ。この大筋は拙著『ムーアの法則が世界を変える』にも書いたが、要するにITが加速度的に発達して人間の労働を置きかえるため、つねに過剰雇用が生まれるという話で、さほど新しい議論ではない。 問題は、これにどう対応すべきかである。それはひとことでいえば、コンピュータで置きかえられない仕事に