Intel社の経験と近年のビッグデータが示す「因果から相関へ」 共同研究プロジェクトを創れば創るほど、半導体産業における日本のシェアは低下した。図2を見ていると、そう思えてくる[同上、p.136]。日本の半導体産業の衰退と共同研究プロジェクトの創設、この両者の間には明らかに相関がある。 「因果から相関へ」──近年のビッグデータ処理は、これを変化の方向とし、「答が分かれば、理由は要らない」とする[ショーンベルガーほか、『ビッグデータの正体』、講談社、2013年]。これは近代科学への、あるいは「研究」への挑戦とも考えられる。 ただし科学ではなく技術、それも経済への貢献を意識した技術開発についてなら、この考えは最近登場したわけではない。すぐに私が思い出すのは米Intel社の例である[ムーア、「半導体産業における研究についての個人的見解」、『中央研究所の時代の終焉』、pp.217-233]。同社は