「人づくり革命」を打ち出した安倍首相は、消費税の増税分を教育無償化や社会保障制度の充実にあてるとして解散・総選挙に踏み切りました。「コンクリートから人へ」を掲げて高校無償化を実現したのは民主党政権で、「保守・伝統主義」であるはずの安倍政権はますますリベラル化して、もはやかつての民主党と区別がつかなくなっています。 ところで「教育無償化」は、アメリカの経済学者でノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究を根拠にしているとされます。 1960年代に、3歳から4歳の子どもたちに就学前教育を行ない、その結果を40年にわたって追跡するという大規模な実験が行なわれました。ヘックマンはこの実験を詳細に検討し、教育支援を受けたグループは、高校卒業率や持ち家率、平均所得が高く、婚外子をもつ比率や生活保護受給率、逮捕者率が低いことを明らかにしました。社会全体の投資収益率は15~17%で、100万円