生きたマウスの脳内で新たな神経細胞をつくることに、東京大分子細胞生物学研究所の後藤由季子教授(分子生物学)のチームがマウスの実験で成功し、15日付の米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。 脳の神経細胞をつくる幹細胞の働きは胎児期にほぼ終わり、出生後しばらくしてから事故や病気で脳を損傷すると元の状態には戻らないと考えられてきた。後藤教授は「神経の再生医療の実現につながる成果だ」としている。 チームは、胎児の脳の神経幹細胞で活発に働き、出生後すぐに働かなくなる「HMGA」という遺伝子に着目。生後数日のマウスの大脳にある神経幹細胞にHMGAが働き続けるようにする遺伝子を導入すると、失われていた神経細胞をつくる能力が復活することを確認した。