製薬大手バイエル薬品の血液を固まりにくくする薬をめぐり、会社の患者調査に協力した医師が発表した論文2本を、同社が事実上代筆していたことが19日、関係者への取材でわかった。論文は2本とも昨年撤回されている。 同社は、患者への調査主体が同社だと明確にされていなかったことや、患者のカルテを社員が不適切に閲覧したことなどが論文撤回の理由だとしている。この社員によると、同社は営業活動にこの論文の内容を活用していたという。 この薬は抗凝固薬。心臓の一部が細かく震える心房細動の患者で脳梗塞(のうこうそく)を防ぐために使われる。同社は2012年4月に「イグザレルト」を発売。同年、宮崎県のある診療所の医師に協力してもらい、患者計約180人に抗凝固薬を1日に飲む回数や飲む数などについて好みを調べた。 論文は国内の医学誌に12年と13年、診療所の医師の名で発表された。いずれも患者が「1日1回の服薬」を好む傾向が