多くの参列者が集まった安倍晋三元首相の国葬会場=東京都千代田区の日本武道館で2022年9月27日午後1時33分、宮武祐希撮影 安倍晋三元首相の国葬が27日、国民の世論が二分される中で行われた。吉田茂元首相以来、55年ぶりの戦後2例目の国葬。国葬について研究してきた宮間純一・中央大文学部教授(日本近代史)は「国葬の体をなしておらず、政治的にも何も生まなかった。政治家の国葬は現代では成立しないことが実証されたのではないか」と総括する。【山下智恵】 「国葬の体をなしていない」 「日本史上、ここまで批判が噴出する中で行われた国葬はありません。吉田国葬の際も反対意見はありましたが、弔意の要請や各地で黙とうがあり、まだ国葬らしかった。今回、反対世論を考慮し、岸田文雄政権は弔意表明の要請を出せず、国を挙げてという形が取れなかった。国葬の体をなしていないばかりか、結果として国民に分断と緊張状態だけを生みま