「長春駅で正体不明の男たちに黒い袋をかぶせられて車に押し込まれた」――。東アジア戦後史の研究者、袁克勤(えんこくきん)・元北海道教育大教授(65)が、実母の葬儀に参列するため中国に一時帰国した際、当局に拘束されて29日で丸2年となる。袁教授はスパイ容疑で起訴されたが、潔白を主張している。札幌市の自宅で一人、父の無事を祈る長男で会社員の袁成驥(せいき)さん(29)に、今の思いや袁元教授の現状、拘束時とその後の経緯などを聞いた。【聞き手・鈴木英生・オピニオングループ】 2回不起訴で3度目で起訴 ――今の気持ちと、情報を教えてください。 ◆今月9日に、初めて弁護士が父と面会できて、健康そうだとわかりました。それまで2年近く本人の状態が一切わからなかったので、この点だけはほっとしました。ただし、今も、容疑の具体的内容も裁判がいつ始まるのかもわからない。親族の面会も認められていません。まだまだ先が見