作家・評論家・ジャーナリストとして活躍した立花隆さんが急逝してまもなく1年――。10万冊とも言われる膨大な蔵書が収められた立花さんの書棚を1年半にわたって撮影し続け、さらに2年近くをかけて『立花隆の書棚』にまとめた写真家の薈田(わいだ)純一氏が、2022年4月に「追悼 立花隆の書棚展」を開催することになった。その薈田氏が、撮影当時、立花氏の書棚に感じたという「殺伐とした」雰囲気とは、はたして何だったのか――。特別寄稿。 「書棚」には所有者の性格が現れる 私は「書棚」を撮影テーマの一つにしている。正確に言えば「書棚がもつ個性」である。写真家である私にとって理想的な書棚の写真、それは、棚に納まる各本の背表紙、書棚の質感や全体像がリアルに味わえるような一枚だ。さらに、持ち主の癖や性格のようなものまで写せたならば、それはとても上手く撮れた写真ということになる。 日本の推理小説のパイオニア江戸川乱歩